2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23550224
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
伴 隆幸 岐阜大学, 工学部, 准教授 (70273125)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 多孔体 / 材料合成 / 溶液化学 / ゼオライト / 結晶 |
Research Abstract |
ゼオライトは分子サイズの細孔をもったアルミノケイ酸塩結晶であり,その用途は,細孔を利用したものがほとんどである。細孔を有効に利用するためには,その結晶形態の制御が重要となる。本研究では,反応成分と有機配位子の反応を利用して,ゼオライトの結晶形態を制御することや,それにより得られた結果をもとに,ゼオライトの結晶化機構に対する知見を得ることが目的である。平成23年度は,L型ゼオライトとシリカライト-1の結晶化に対する有機配位子の添加効果を調べた。 L型ゼオライトに対する検討の結果,太さ方向および長さ方向のそれぞれの成長に,どの反応成分が寄与するのかを明らかにできた。その結果,L型ゼオライトは,細孔方向に伸びた柱状形態をとりやすいが,板状形態の結晶も合成できた。ゼオライト薄膜を分離膜などに利用した場合,細孔が薄膜の表から裏まで貫通して配向した薄膜が理想的である。L型ゼオライトのように,細孔方向に伸びやすいゼオライトでは,そのような配向薄膜を作製する場合,厚さ方向への成長が起こりやすく,厚い膜となってしまうが,ここで得られた知見を利用すれば,数十nmの薄さのL型ゼオライト配向膜の作製できる可能性がある。 シリカライト-1の結晶成長に対する検討の結果では,結晶成長の異方性には反応ゲルのpHが大きく寄与し,添加した有機配位子と反応物の反応は,結晶核生成速度を遅くして最終的に得られる結晶サイズを大きくするだけであることが分かった。ゼオライトは触媒材料として広く応用されているが,近年,触媒反応に寄与する分子のゼオライト細孔中での吸着や拡散を共焦点顕微鏡などで直接観察する研究が行われ始めている。そのような研究では,大きなゼオライト結晶が非常に有用であるが,本研究では約100μmの結晶が合成できた。ここで得られた知見は,大きなゼオライト結晶の合成に対して有用なものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に計画していた,アルミノケイ酸塩ゼオライトであるL型ゼオライト,およびシリカ組成のゼオライトであるシリカライト-1の結晶化に対する検討を行い,有用な知見が得られた。予定していた原子レベルでの結晶表面構造の観察は行えなかったものの,その代わりに,ゼオライトの配向薄膜や巨大結晶の作製につながる重要な知見が得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
有機配位子と反応成分の反応を利用したゼオライトの結晶化機構の解明を系統的に,また,より詳細に進めるが,配向薄膜や巨大結晶といった興味深い形態の形成につながる知見も得られているので,それらの形態のゼオライト結晶および薄膜の合成についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
L型ゼオライトに対しては,配位子の種類を増やして結晶化機構について詳細に検討する。また,その細孔が直貫通に配向した配向膜の作製も検討する。シリカ組成のゼオライトに対しては,シリカライト-1以外のゼオライトに対しても検討を行い,ゼオライトの種類と結晶化機構の関係を調べる。また,それらの巨大結晶の合成についても検討する。
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