2011 Fiscal Year Research-status Report
固体電解層の開発を目指した新領域の柔粘性結晶の研究
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23550230
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
本多 尚 横浜市立大学, その他の研究科, 准教授 (30295505)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 柔粘性結晶 / 柔粘性イオン結晶 / 固体NMR |
Research Abstract |
新領域で柔粘性イオン結晶の発見に成功した。これまで、柔粘性イオン結晶は、平面状イオンと球状イオンの組み合わせが多く、分子性結晶は球状分子に柔粘性が見られていた。そこで、本研究ではイオン間の距離を大きくすることで、イオン性が弱まり球状イオンの組み合わせでも、柔粘性イオン結晶になると予想し、この新領域での柔粘性結晶の開発に取り組んだ。陽イオンにテトラアルキルアンモニウム、陰イオンにテトラアルキルホウ酸を用いた塩を合成し、その物性測定を行った。陰イオンは、合成原料の関係で、テトラブチルホウ酸とトリエチルメチルホウ酸の2種類しか合成できなかったが、陽イオンはアルキル基がメチル基からブチル基まで、NR4タイプで4種類、NR3R’で12種類、NR2R2’で12種類の合計28種類合成した。DSC、固体NMR、粉末X線回折測定、伝導度測定を行い調べたところ、陰イオンがテトラブチルホウ酸の場合、陽イオンがテトラエチルアンモニウムなど合計5種類が柔粘性イオン結晶になることが分かった。当初、中心電荷間の距離を大きくすることを考えていたが、テトラブチルホウ酸のアルキル基が直鎖のため、陽イオンのアルキル郷絡み合い、等方回転運動が阻害されていることが分かった。そこで、アルキル鎖を短くした、トリエチルメチルホウ酸を合成した。その結果、トリエチルメチルホウ酸を陰イオンにするとテトラメチルアンモニウムからトリプロピルエチルアンモニウムまで、8種類の塩が柔粘性イオン結晶であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概要の部分に記したが、新領域で柔粘性イオン結晶の発見に成功している。また、これまで、陽イオンと陰イオンの大きさの比が0.8~1.1の平面状イオンであったのに対し、今回柔粘性結晶であったイオンの比は、0.5~1.3と広範囲であった。この結果は、当初予定していなかった結果なので、新領域で新たに13個の柔粘性イオン結晶が発見できたことは、予想を大きく上回る数である。また、Rotator結晶の研究も進み、n-アルキルカルボン酸リチウムは抵抗が大きく、伝導度測定ができなかったが、n-アルキル硫酸リチウムを用いたところ、小さい値であるが電気伝導度の測定が可能であった。このように、新領域で柔粘性イオン結晶が多数発見でき、Rotator結晶の方も、研究の方向性が正しいことが分かったので、初年度計画以上に進展していると言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
新領域で、柔粘性イオン結晶が発見できたので、陽イオンの形状など変化させ、より多くの柔粘性イオン結晶の発見を目指す。柔粘性イオン結晶にならなくても、陽イオンだけが等方回転運動するケースも23年度に得られたので、合成と測定を継続して行う。特に、テトラブチルホウ酸で見られたような、アルキル鎖が絡み合い、等方回転運動を阻害する場合があるので、直鎖ではないアルキル基を用いて、検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
備品は、23年度にそろえたので、24年度は、試薬を中心に消耗品の購入にあてる。また、23年度の成果を国際学会や国内学会で発表するので、その旅費に充てる。
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Research Products
(2 results)