2012 Fiscal Year Research-status Report
固体電解層の開発を目指した新領域の柔粘性結晶の研究
Project/Area Number |
23550230
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
本多 尚 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 准教授 (30295505)
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Keywords | 柔粘性イオン結晶 / Rotaor結晶 / 固体NMR |
Research Abstract |
新領域で新規柔粘性イオン結晶を発見した。 これまで、柔粘性イオン結晶は、平面状イオンと球状イオンの組み合わせが多く、分子性結晶は球状分子に柔粘性が見られていた。そこで、本研究ではイオン間の距離を大きくすることで、イオン性が弱まり球状イオンの組み合わせでも、柔粘性イオン結晶になると予想し、この新領域での柔粘性結晶の開発に取り組んだ。23年度は陽イオンにテトラアルキルアンモニウム、陰イオンにテトラアルキルホウ酸を用い、新規柔粘性イオン結晶を得たが、大きな陽イオンでは、柔粘性イオン結晶が得られなかった。これは、アルキル鎖が長くなることにより、アルキル鎖の間に、陰イオンが入り込んでしまうことが原因と考えられる。そこで、24年度は、籠形の陽イオンである1-alkyl-4-aza-1-azoniabicyclo[2,2,2]octaneを用いたところ、新規柔粘性イオン結晶が得られた。さらに、イオンの運動状態を固体NMR等で調べたところ、アルキルアンモニウムより、低いエネルギーで等方回転運動していることが明らかになった。得られた新規柔粘性イオン結晶のX線構造解析を行ったところ、アルキルアンモニウム塩と同様にCsCl型の立方晶をとり、伝導度もアルキルアンモニウム塩と同程度の者が得られた。 また、2次元柔粘性イオン結晶であるRotator結晶では、n-アルキルカルボン酸リチウム塩とカリウム塩を混合することにより、大きなイオン伝導度を得ることができた。この結果は、国際学会で発表し、論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概要の部分に記したが、新領域で柔粘性イオン結晶の発見に成功している。また、アルキルアンモニウム塩で、課題となっていた点が、籠形の陽イオンを用いることにより、等方回転運動の活性化エネルギーが小さくなった上、イオン伝導度も大きかった。つまり、新領域で、多くの柔粘性イオン結晶が得られるだけでなく、イオン伝導性の大きな物質を見いだすことが可能であることを示すことができた。 また、Rotator結晶の研究も進み、n-アルキルカルボン酸リチウムは抵抗が大きく、伝導度測定ができなかったが、カリウム塩と混合することにより、大きな電気伝導度が得られ、国際学会で発表し、論文としても発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
この2年間で、柔粘性イオン結晶を新領域で多く発見してきたが、その多くは、陽イオンがアルキルアンモニウムイオンであった。そこで、これまでの結果が、アンモニウム塩の性質ではなく、イオン間の距離を長くしたことにより、柔粘性が表れることを示す必要がある。25年度は窒素以外のヘテロ原子を含む陽イオンでも柔粘性イオン結晶になることを、示していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Electrical Conductivity, DSC, XRD, and 7Li NMR Studies of Rotator Crystals n-C21H43COOLixK(1-x) (0.33 ≤ x ≤ 0.50), n-CmH(2m+1)COOLi, and n-CmH(2m+1)COOK (m = 13, 15, 17, 19, and 21)2012
Author(s)
Tomoyuki Hayasaki, Hisashi Honda, and Satoru Hirakawa
Organizer
4th Joint International Conference on Hyperfine Interactions and International Symposium on Nuclear Quadrupole Interactions
Place of Presentation
北京(中国)
Year and Date
20120910-20120914
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