2013 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト型スズ酸塩の固溶体合成,ナノ構造制御,及び熱電特性
Project/Area Number |
23550234
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
安川 雅啓 高知工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (10332082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 和茂 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70302982)
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Keywords | ペロブスカイト / セラミックス / 錯体重合 / 放電プラズマ焼結 / 電気伝導率 / ゼーベック係数 / 熱伝導率 / 性能指数 |
Research Abstract |
最終年度は、最適組成であることを見出したBa0.995La0.005SnO3に対し粒径微細化による熱伝導率低減と性能指数向上を図るため、錯体重合法と放電プラズマ焼結法の条件を種々変えて作製した構造体及びセラミックスについて、生成相と微細構造を評価し、熱伝導率を含む熱電特性評価を行った。錯体重合法で得たペロブスカイト型酸化物粉末を放電プラズマ焼結法で850℃、10分間処理した試料が最も良質なものとなり、わずかにSnO2を含むものの、1μm程度の比較的微細な粒子からなる緻密セラミックスが得られた。しかし、熱伝導率は平均粒径5μm程度から1μm程度への粒径微細化ではほとんど変化せず、フォノン平均自由行程が影響を受けないものと考えられた。一方、電気伝導率は粒界あるいは不純物に起因して大きく減少し、結果としてBa0.995La0.005SnO3の性能指数は低下した。 研究期間全体について上記以外の主要な成果は次の通りである。(1) Ba1-xLaxSnO3 (x=0.002, 0.005)セラミックスに対して無次元性能指数ZTが最も高くなり、1073Kで約0.1を示した。(2) Sr1-xLaxSnO3におけるSnO6八面体の傾斜構造はフォノン散乱効果を有し、Ba1-xLaxSnO3に比べて低い熱伝導率をもたらした。 (3) (Ba1-xSrx)0.995La0.005SnO3の電気伝導率がSr濃度の増加とともに縮退半導体的挙動から熱活性化型挙動に変化することについて、X線回折パターンのリートベルト解析から、Sr固溶とともにSn-O-Sn結合角が減少しSnO6八面体の傾斜が大きくなることによることを解明した。 熱伝導率低下のためにはnmオーダーの粒径制御が必要であり、粒成長抑制、単相化、緻密化を同時に実現するため、より低温かつ高圧条件下での作製手法が今後の可能性としてあげられる。
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