2011 Fiscal Year Research-status Report
フィブリノゲンクライオゲル形成機構の解明:血液凝固におけるフィブリンゲルとの違い
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23550237
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
外山 吉治 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50240693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 健二 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40153332)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | フィブリノゲン / クライオゲル / フィブリン / 水晶振動子マイクロバランス / トロンビン |
Research Abstract |
当該年度の研究実施計画は1)および2)である。1)水晶振動子マイクロバランス(QCM)法を用いたクライオゲル形成過程の測定これまでにトロンビン作用によって生じるフィブリンゲルの形成過程の測定をQCM装置を用いて室温下で行ってきた。当該年度はこの測定を2℃の低温下で形成されるクライオゲル形成過程の測定に応用することであった。実験はまず冷却装置を0℃付近までコントロールを可能にすることから始め、続いて温度変化に対する水晶振動子の周波数変化の校正を行いベースラインを決定した。次に、水晶振動子金表面に自己組織化単分子膜を形成させフィブリノゲンを固定化するとともに、サンプルセルを2℃まで冷却させた。クライオゲル形成に伴う周波数変化を確実に捉えることができQCM法を用いてクライオゲルの形成過程を測定することが可能となった。今後、フィブリノゲン分解産物や種々の阻害剤の添加効果を調べることで、クライオゲル形成メカニズムの解明の大きな手がかりが得られることが期待される。2)クライオゲルネットワーク線維の構造解析濁度の波長依存性の測定から2℃の低温下で形成されるフィブリノゲンの集合体の構造解析を行う。測定には試料セルを0℃付近まで冷却する必要があり、その時に生じる結露の問題があった。これらの問題を克服するため、備品申請した結露防止機能付きの温度コントローラーを備えた分光光度計を購入し測定を行った。その結果、結露することも無くクライオゲル形成に伴う濁度変化を観測することができた。また、波長依存性の解析から線維の半径や線維密度などを求めることができた。今後、トロンビン作用により形成されるフィブリンゲルとの比較を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
補助事業期間全体における具体的な研究目標は以下1)から5)である。1)水晶振動子マイクロバランスを用いた低温下でのフィブリノゲンの集合体およびクライオゲル形成過程の測定、2)濁度の波長依存性の測定によるフィブリノゲン線維の構造解析、3)クライオゲル形成へのフィブリノゲン分解産物の影響よる分子間相互作用部位の特定、4)クライオゲル形成におけるフィブリノゲン付加糖鎖の影響、5)トロンビン作用によるフィブリンゲルとの形成メカニズムの比較研究計画による当該年度の達成目標は上記の1)および2)であり、研究実績概要に記した通り、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ交付申請書に記載した研究計画に沿って順調に研究が進展している。従って、今後も当初の研究計画に沿って進めて行く予定である。次年度の具体的な研究目標は、クライオゲル形成メカニズムの解明に向けたフィブリノゲン分子間の相互作用部位の決定とフィブリノゲン付加糖鎖の影響を明らかにすることである。方法としては、QCM法を用いて低温下おけるフィブリノゲンと分解産物の相互作用の有無を直接測定し、相互作用部位を決定する。従って、純度の高いフィブリノゲン分解産物が必要であり、次年度はこの分解産物の作製から始める予定である。さらに、フィブリノゲン分子に存在する4つの付加糖鎖の役割を調べる。具体的にはN-グリコシダーゼを用いて糖鎖を切除したフィブリノゲンを作製し、クライオゲル形成に与える糖鎖の影響を調べる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
必要な備品については、本年度予算ですべて購入することができた。従って、次年度の予算は当初の計画通り、試薬や器具などの消耗品と国内旅費および論文投稿費用に当てる。また、本年度末に化学試薬の購入を予定していたが、不要となり20,424円が次年度使用額となった。低額でもあることから、次年度の研究費の使用計画の変更は行わず、化学薬品の購入に当てる。
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Research Products
(10 results)