2012 Fiscal Year Research-status Report
帯状レーザー溶融静電紡糸過程におけるテーラーコーンの形成機構の解明
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23550238
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小形 信男 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70108249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中根 幸治 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50292446)
島田 直樹 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10545007)
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Keywords | ナノファイバー / 静電紡糸 |
Research Abstract |
テーラーコーンからの微細繊維形成機構を解明する事が本研究の目的である。このために、高分子ブレンド材料を紡糸試料として用いて、材料の物性因子が、繊維形成に及ぼす影響を検討した。具体的には、紡糸試料として汎用熱可塑性高分子であるポリL乳酸(PLLA)およびポリプロピレン(PP)を使用した。PLLAとPPとを溶融混練して任意のブレンド比を有するブレンドシートを作製し、そのシートから紡糸を行うことで、ブレンド構造が繊維形態に及ぼす影響を調べた。 PLLAとPPとのブレンドシートから得られた繊維は、PP単一成分の高分子シートから得られた繊維(平均繊維径5.48μm)単体と比較して細い平均繊維径を有していること(平均繊維径3.40~4.54μm)が分かったが、PLLA体積含有率が繊維径に及ぼす影響は殆ど見られなかった。また、ブレンドシートから得られた繊維からPLLA成分のみをクロロホルムにより除去し、PP成分のみを観察した。その結果、PLLA体積含有率が50vol%以上の場合において、PLLA体積含有率の増加に伴いPP繊維径が急激に減少することが分かった(PLLA体積含有率50vol%:平均繊維径3.98μm、PLLA体積含有率90vol%:平均繊維径0.28μm)。 次に、上記のPLLAをエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)に、PPをエンプラ微粉末 (ポリフェニレンスルフィド)に変えて任意のブレンド比を有するブレンドシートを作製し、そのシートからの紡糸を行った。その結果、PLLAとPPとのブレンドシートにおける結果と同様に、EVOH体積含有率が繊維径に及ぼす影響は殆ど見られなかった(平均繊維径1.7~2.7μm)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PLLAとPPとからなる高分子ブレンド材料から繊維形成を行い、一成分の除去を行うことで、溶融静電紡糸による微細繊維形成が非常に困難なPPから、平均繊維径0.3μm以下のナノファイバーを形成できることが明らかとなった。 PLLA体積含有率が繊維の繊維径に及ぼす影響は殆ど見られなかったことから、繊維の更なる細径化には、繊維に対して作用する静電的牽引力を大きくし、繊維のドラフト延伸を促すことが必要だと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
高分子ブレンドシートからテーラーコーンの形成がなされ、そこからブレンド繊維が形成される機構がある程度解明されたが、まだブレンドしていない高分子材料からナノファイバーの作製に成功していない。このために、得られたブレンド材料から形成される繊維機構を考慮して紡糸装置の改良を行い紡糸実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
テーラーコーンから形成される繊維の細径化のために、静電的牽引力の増加および紡糸空間の温度制御を行う必要があり、このために、紡糸装置の改良を行う必要がある。このために機械部品費を計上する。さらに装置の一部を改良するために研究費を使用する。
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Research Products
(2 results)