2011 Fiscal Year Research-status Report
四官能有機ゲル化剤の自己組織化を利用した高性能超分子複合材料の創製
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23550250
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 充弘 千葉工業大学, 工学部, 教授 (60286143)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | オルガノゲル / ポリカプロラクトン / 超分子 / 水素結合 / イオン結合 / 自己組織化 / ネットワークポリマー |
Research Abstract |
ペンタエリスリトールの四つのヒドロキシ基を開始点としてカプロラクトンの開環重合を行い末端OH四官能カプロラクトンオリゴマー(Tetra-OH-CLO)を合成した。得られたTetra-OH-CLOに無水コハク酸(SA)または無水フタル酸(PA)を反応させ二種類の末端カルボン酸四官能カプロラクトンオリゴマー(Tetra-SA-CLOまたはTetra-PA-CLO)を合成した。さらにTetra-OH-CLOにニコチン酸を反応させ末端ピリジン四官能カプロラクトンオリゴマー(Tetra-NA-CLO)を合成した。得られた新規化合物はすべて1H-NMR, IR, GPCなどにより構造確認を行った。また,Tetra-OH-CLOと環状スルホン酸エステル類の反応により末端スルホン酸四官能カプロラクトンオリゴマー(Tetra-SO3H-CLO)を合成したが,非常に不安定でありこの化合物の利用は断念した。結果として合成に成功したTetra-NA-CLOとTetra-SA-CLOまたはTetra-PA-CLOを各種有機溶媒を用いて混合し,超分子的型相互作用に基づくゲル化能について検討した結果,いずれの組み合わせにおいてもDMFを溶媒として用いた場合にゲル化が起こることが確認できた。また,ゲルおよび乾燥したキセルゲルのFT-IRスペクトルを測定することにより,カルボン酸とピリジンの水素結合性相互作用があることが判明した。これらの成果は2012年5月の高分子学会年次大会において発表する予定であり,現在Polymer誌に投稿準備を進めている。次の段階として光硬化性樹脂を四官能ゲル化剤に添加して硬化させる予定であるが,その基礎検討として,光硬化性植物油のオルガノゲルの形成と硬化物の物性を評価した。この結果は2011年11月のポリマー材料フォーラムで発表し,Polymer Journal誌に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初目標としていた化合物はすべて合成することができた。ただし,スルホン酸末端四官能カプロラクトンオリゴマー(Tetra-SO3H-CLO)は酸性が強く自らのポリエステル鎖の加水分解が起こって不安定であったため,以降のゲル化は断念した。ただし,スルホン酸タイプについては二官能の低分子ジスルホン酸とTetra-NA-CLOを相互作用させることにより継続して検討する予定であるので問題ないと考えている。当初は化合物の合成までを達成する予定であったが,すでにゲル化する系を見出すことができ,IRにより水素結合的相互作用も確認できたので計画以上に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回,Tetra-SA-CLO/Tetra-NA-CLOとTetra-PA-CLO/Tetra-NA-CLOの組み合わせについてDMF溶媒を用いてゲルを形成することに成功したので,他の誘電率の異なる有機溶媒についても検討する予定である。さらに,ジスルホン酸としてナフタレンジスルホン酸とプロパンジスルホン酸を用いてTetra-NA-CLOとイオン相互作用させゲル化能を調査する予定である。得られた超分子的ネットワークポリマーについてはDSCなどによる熱的性質についても検討していく予定である。さらに,これらの系に光硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を添加し,新規な超分子複合材料の創製についても検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成用試薬およびガラス器具,分析用雑品として熱分析測定用アルミ皿,成形用雑品としてテフロンシート,ステンレス板の購入,論文別刷費用に研究費を使用する予定である。
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