2012 Fiscal Year Research-status Report
四官能有機ゲル化剤の自己組織化を利用した高性能超分子複合材料の創製
Project/Area Number |
23550250
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 充弘 千葉工業大学, 工学部, 教授 (60286143)
|
Keywords | オルガノゲル / 超分子相互作用 / 酸-塩基相互作用 / 自己組織化 / スターポリマー / 有機-無機ハイブリッド / Diels-Alder反応 |
Research Abstract |
昨年度に合成した末端OH四官能カプロラクトンオリゴマー(Tetra-OH-CLO)と無水コハク酸,無水フタル酸の反応により得られる末端カルボン酸誘導体(Tetra-SA-CLO, Tetra-PA-CLO)に加えて,Tetra-OH-CLOとテトラクロロ無水フタル酸の反応により新規カルボン酸末端誘導体(Tetra-TCPA-CLO)を合成し,Tetra-OH-CLOとニコチン酸の反応により得られる末端ピリジン誘導体(Tetra-NA-CLO)との混合物の有機溶媒中でのゲル化挙動を調べた。その結果,いずれの混合物もDMF中で15℃付近にゾル-ゲル転移温度をもつ水素結合型熱可逆性オルガノゲルになることを確認した。その成果はJournal of Colloid and Interface Science (Elsevier, Impact Factor:3.1)に受理され印刷中となっている。スルホン酸末端四官能カプロラクトンオリゴマーについても合成条件を見直し,2種類の環状スルホン酸エステルとTetra-OH-CLOの反応により純度の高い生成物を得ることに成功した。Tetra-NA-CLOと組み合わせイオン相互作用型熱可逆性オルガノゲルとなることを確認した。また,スルホン酸末端ポリシルセスキオキサンを合成し,Tetra-NA-CLOと相互作用させることによりイオン相互作用型有機-無機ハイブリッドを合成することにも成功している。これらの研究を発展させ,Tetra-OH-CLOからマレイミド末端とフラン末端誘導体を合成し,Diels-Alder反応による熱可逆性オルガノゲルの形成にも成功した。これらの成果は本年5月に行われる高分子学会年次大会で発表する予定であり,後者の成果は既にPolymer (Elsevier, Impact Factor:3.3)に受理され印刷中となっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初目標としていた酸性と塩基性官能基をもった四官能オリゴマーはすべて合成することができ,それらを組み合わせることにより熱可逆的オルガノゲルの形成や相互作用も評価することができたので,当初の目標は達成された。さらに,研究を進めることにより当初は予定していなかったイオン相互作用型有機-無機ハイブリッドやDiels-Alder反応型熱可逆性材料も開発することに成功していることから,当初の計画以上に順調に研究が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度成功したスルホ基とピリジル基の相互作用による系について熱分析や力学試験を行うことにより研究をまとめ上げて投稿論文を作成する予定である。さらに今後,イオン相互作用よりも強い相互作用として金属との配位結合を用いた系について研究を進めていく予定である。さらに本研究により開発した超分子ポリマーネットワークに熱可塑性ポリマーや光硬化性樹脂をIPN化することにより,今までにない新しい超分子複合材料の研究を推進したいと考えている。Diels-Alder反応による系は,主鎖をオリゴエチレンオキシド鎖に変更し熱可逆性ヒドロゲルとして展開していくことも考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
私の過去における科研費以外の公的研究費において処理することのできなかった修繕費を消耗品費へ書き換えた件と,購入するように決定していた機器費が申請していた額より減額されて交付決定されたため,その差額を消耗品費に書き換えて処理したという不正が会計検査により発覚し,本年度途中より本科研費の支給が停止となった。当初の予定以上に順調に研究が進行し,次年度以降の研究展開を期待していたが,次年度以降も研究費が支給されないことになったので研究を途中で断念せざるを得ない状況となった。したがって,次年度以降の研究費の使用計画はありません。
|