2013 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性高分子鎖をもつエラストマーによる高速親水化フィルターの創製と溶質透過制御
Project/Area Number |
23550253
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
渡邉 順司 甲南大学, 理工学部, 教授 (60323531)
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Keywords | 高分子合成 / エラストマー / 溶質透過 / 表面偏析 / ポリマーコロイド |
Research Abstract |
セルロースアセテート(CA)を多孔質膜の基盤材料とし、両親媒性のグラフトポリマーのブレンドによる溶質透過制御膜の創製を目的として研究を推進した。グラフトポリマーは、N-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEAA)の側鎖の水酸基に環状モノマーであるトリメチレンカーボネート(TMC)を開環重合により作用させ、マクロモノマー(HEAA-PTMC)を合成した。このマクロモノマーをHEAAとランダム共重合して、種々のグラフト率およびTMCの重合度を有するグラフトポリマー(PHT)を得た。グラフトポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレン換算で50,000から80,000であった。グラフトポリマーを溶かした水溶液(20 mg/mL)はチンダル現象を示した。さらに疎水場を分析できる蛍光プローブを用いた解析から、グラフトポリマーは水中で疎水性ドメインを有しており、両親媒性を示すことが示唆された。 非対称型の多孔質膜の作製は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を溶媒とし、CAおよびPHTを種々の組成比でブレンドした溶液を調製後、ガラス基板に流延してバーコーターにより均一な膜厚を形成させた。空気中にて所定時間乾燥後、水中に浸漬して多孔質膜を得た。CAのみから多孔質膜を作製した場合は、溶液の透過経路となるスポンジ層は観察されなかった。これに対して、PHTのブレンドにより数ミクロン程度の空孔とサブミクロン程度の無数の空孔が形成することが明らかとなった。得られた膜の分画分子量を見積もるために、蛍光分子であるフルオレセインで標識された種々の分子量のデキストランの溶質透過試験を行った。その結果、分子量30,000程度のところで急激に透過率が変化することが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)