2011 Fiscal Year Research-status Report
反射高速電子回折の強度振動モニタリングによる有機格子整合ヘテロエピタキシー成長
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23560001
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊高 健治 弘前大学, 北日本新エネルギー研究所, 准教授 (40422399)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 有機分子 / レーザー / MBE / エピタキシー / RHEED |
Research Abstract |
二次元電子ガスを始めとするヘテロ界面での興味深い現象を引き出すには、界面での電子散乱を抑制するために格子整合したヘテロ界面が不可欠であるが、これまで有機・分子性材料では製膜中にリアルタイムで表面状態を観察する有効な手法が無く、実現されていない。新たに開発した赤外線レーザーMBE法と高感度な反射高速電子回折(RHEED)強度振動観察法によって分子レベル堆積制御された有機分子の格子整合ヘテロ界面を作製することを目指している。RHEEDの回折像をマルチチャンネルプレートで高感度化しているが、画像取り込みの段階で、8ビットにデジタル化されてしまうために、これまではダイナミックレンジを十分に得ることができないという問題点があった。このため、初期の基板となる表面の回折強度が十分強い場合には、その強度について光量・絞りなどを調整せざるを得ないため、堆積した薄膜の回折強度が相対的に弱い場合には、検知出来なくなってしまうことになる。この問題は、画像が256段階にデジタル化されてしまうからであり、より高感度な10ビットで検知すれば、1024段階という大きなダイナミックレンジで検知出来る可能性が増える。実際にボードや光学系を調整し、プログラムを修正することによって感度が上昇したことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルチチャンネルプレートの画像を取り込みについて、ボードの変更・光学系の調整・プログラムの変更などを行うことにより、ダイナミックレンジを4倍増加させることが出来た。初期の基板となる表面の回折強度が十分強い場合であっても、微弱な回折を検知できるようになった。装置改造に関しては、60%程度進んでいるものの、東日本大震災の影響で装置の移設が遅れており、移設を急いで研究進捗を加速する。
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Strategy for Future Research Activity |
新システムを用いて、様々な単結晶基板についてRHEED観察を行い、RHEEDパターンの振る舞いを調べることによって、ホモエピタキシー・ヘテロエピタキシーの可能性について、詳細に調べていく。MCPの画像を取り込みについては、高感度化が終了したものの、電子線についてもより微細な制御が必要不可欠である。電子線の制御は、電磁コイルで制御しているが、現在、1次コイルによる走査しかしていないために、2次コイルの走査も可能なようにプログラムの改良を進める。東日本大震災の影響で装置の移設が遅れていたが、ようやく目処が立ったため、移設を急いで研究進捗を加速する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
老朽化の進んでいるマルチチャンネルプレートを新しくすることによって、取り込める画像を鮮明にすることによって微弱な回折像の検知、モニタリングを容易にする。また真空部品の消耗品購入やポンプ消耗品、有機試薬などを購入する。
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