2012 Fiscal Year Research-status Report
新材料・新量子構造を用いた高性能中赤外デバイスの研究
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23560012
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
河村 裕一 大阪府立大学, 地域連携研究機構, 教授 (80275289)
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Keywords | 赤外光デバイス / 量子ナノ構造 / エピタキシー |
Research Abstract |
H24年度においては以下の研究実績を得ることが出来た。 (1)InAsSbN単一量子井戸構造の発光特性の最適化を図るためSb組成と成長温度をパラメータとして成長条件を変えて分子線結晶成長法(MBE)により成長を行った。その結果、Sb組成が2%、成長温度450℃においてもっとも発光強度が強く、半値幅の狭いフォトルミネッセンススペクトルを得ることが出来た。さらにこの成長条件を用いて InAsSbN単一量子井戸レーザを作製し、220Kにおいて発振波長2.36μmのレーザ動作を実現することが出来た。特性温度は66Kであり波長2μm帯レーザの値としては大きな値を得ることが出来た。 (2)InGaAs/GaAsSbタイプII量子井戸の成長条件を最適化することにより、タイプII量子井戸特有の発光現象を観測することに初めて成功した。このことは極めて高品質のエピタキシャル結晶が形成されていることを示している。 (3)プラズマ窒素源を用いることによりInGaAsN/GaAsSbタイプII発光ダイオードを試作した。その結果、室温において波長2.86μmのエレクトロルミネッセンスを観測することに成功した。これは窒素を導入しないInGaAs/GaAsSb発光ダイオードの波長2.3μmから大幅に長波長化しており、この材料系がInPベースの中赤外デバイスとして極めて有望であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
InGaAs/GaAsSbタイプII量子井戸構造についてはほぼ理想的が成長条件を把握することが出来た。またこれに窒素原子を導入したInGaAsN/GaAsSbタイプII量子井戸発光ダイオードを試作し、波長2.86μmのエレクトロルミネッセンスを観測することに成功した。このことはこの材料系がInP基板上の赤外デバイスとして有望であることを示しているとともにInAsN/InAsSb量子井戸がさらなる長波長化に有効であることをも示していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度の結果に基づき、以下の研究を進める予定である。 (1)InGaAsN/GaAsSbタイプII量子井戸ダイオードの発光強度を向上させるため成長条件の最適化を図る。 (2)InGaAsN/GaAsSbタイプII量子井戸ダイオードの発光波長のさらなる長波長化を実現するため歪み補償効果の導入を検討する。 (3)InAsN/InAsSb量子井戸構造を試作することによりInGaAsN/GaAsSbタイプII量子井戸構造よりさらに長波長の光素子を実現する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度における研究費の使用計画は以下の通りである。 (1)結晶成長のための材料費として約100万円を予定している。 (2)発光素子作製のための材料費として約50万円を予定している。 (3)光学的特性評価装置に対する備品費として約80万円を予定している。 (4)出張費としてやく40万円を予定している。
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Research Products
(3 results)