2012 Fiscal Year Research-status Report
グラファイト/C60/グラファイト構造におけるナノベアリング機構の解明
Project/Area Number |
23560022
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
鈴木 勝 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (20196869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 浩治 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50190583)
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Keywords | 動摩擦 / QCM-AFM / グラファイト / C60 / ナノベアリング / トムリンソンモデル |
Research Abstract |
本研究の目的は,『グラファイト/C60/グラファイト構造(Gr/C60/Gr) におけるナノベアリング機構の解明』であり,この系に特異な現象である低摩擦状態を動摩擦力のエネルギー散逸測定よって明らかにすることである.具体的には,AFM探針で荷重を測定し,QCMを利用して動摩擦のエネルギー散逸をすべり距離の制御して測定できる装置を開発し,動摩擦力とすべり距離の関係を明らかにする。これによりC60分子運動が明らかになると期待される。 これまでにグラファイト-Si3N4探針,C60-Si3N4探針間での動摩擦力とすべり距離の関係を測定した。測定の結果,すべり距離がそれぞれの基板の格子間隔以下では動摩擦力はすべり速度に比例する粘性摩擦であり,格子間隔より十分に大きくなるとすべり速度に依らないクーロン摩擦となることが明らかになった。さらに、これらのすべり距離依存性は、エネルギー散逸として粘性摩擦項があるトムリンソンモデルで良く説明できる。これは動摩擦の主要な素過程は1つであること意味する。この結果は学会で発表し,論文として報告している。 さらに平成24年度はGr/C60/Grの予備実験としてGr/Grにおいて動摩擦力とすべり距離の関係を測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにグラファイト-Si3N4探針,C60-Si3N4探針間での動摩擦力とすべり距離の関係を測定し,すべり距離がそれぞれの基板の格子間隔以下では動摩擦力はすべり速度に比例する粘性摩擦であり,格子間隔より十分に大きくなるとすべり速度に依らないクーロン摩擦となることを明らかにした。この結果は学会で発表し,論文として報告している。また,Gr/C60/Grの予備実験としてGr/Grの測定も行っている。以上から(2)おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,これまでに得られた動摩擦力のすべり距離依存性の新しい知見が得られたことに基づき,以下の2つの方向で研究を推進したい。(1)動摩擦力の基板格子の位置依存性:AFM探針が基板格子以下の位置分解能を持つことを利用し,AFM探針による格子像とそれぞれの位置での動摩擦力像を同時に測定し,動摩擦のメカニズムを明らかにする。(2)Gr/C60/Grの試料を準備し,Gr/C60/Grでの動摩擦力とすべり距離の関係を明らかにする。これら(1)と(2)によりGr/C60/Grの低摩擦状態の解明につながるものと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予備測定として開始したグラファイト-Si3N4探針,C60-Si3N4探針間での動摩擦力とすべり距離の関係の測定により、動摩擦力のすべり距離依存性の新しい知見が得られ,結果の考察等に力点をおいて研究を進めた。これにより使用計画の変更が生じた。次年度以降に当初予定の研究を行うため,次年度使用額と併せて利用する。
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Research Products
(8 results)