2013 Fiscal Year Research-status Report
グラファイト/C60/グラファイト構造におけるナノベアリング機構の解明
Project/Area Number |
23560022
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
鈴木 勝 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (20196869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 浩治 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50190583)
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Keywords | 動摩擦 / QCM-AFM / グラファイト / C60 / ナノベアリング / トムリンソンモデル |
Research Abstract |
本研究の目的は,『グラファイト/C60/グラファイト構造(Gr/C60/Gr) におけるナノベアリング機構の解明』であり,この系に特異な現象である低摩擦状態を動摩擦のエネルギー散逸測定よって明らかにすることである.具体的には,代表者・鈴木と分担者・三浦が共同開発したすべり距離を格子間隔以下まで制御可能な装置を用いて,Gr/C60/Gr のエネルギー散逸について,ベアリング機構の視点からすべり距離依存性を,C60 分子の熱運動の視点から温度依存性を測定し,グラファイト2表面間の散逸と比較・計算することにより,C60 分子の役割を明らかにする. これまでの研究において,グラファイト‐Si3N4探針,C60‐Si3N4探針間での動摩擦とすべり距離の関係を測定し、すべり距離がそれぞれの基板の格子間隔以下では動摩擦はすべり距離に比例する粘性摩擦であり,格子間隔より十分に大きくなるとすべり距離に依らないクーロン摩擦であることが明らかになった。これらのすべり距離依存性は粘性摩擦項があるトムリンソンモデルで良く説明できる. 平成25年はC60‐Si3N4探針間での動摩擦がC60膜を用意する基板の平坦度とどのように関係すかを明らかにするために,平坦金基板の作製とその基板上でのC60膜の動摩擦特性を測定した.測定の結果,平坦C60薄膜の動摩擦が著しく小さいことが明らかになった.また,低荷重の測定を可能とするように,これまで利用した自己検知AFMカンチレバーに加えて,光てこAFMカンチレバーでの測定を可能とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではAFM探針と基板と動摩擦を水晶マイクロバランスを利用して動摩擦を測定する新しい装置を利用して,これまでにグラファイト-Si3N4探針,C60‐Si3N4探針間での動摩擦とすべり距離の関係を測定した.測定の結果,すべり距離がそれぞれの基板の格子間隔以下では動摩擦はすべり距離に比例する粘性摩擦であり,格子間隔より十分に大きくなるとすべり距離に依らないクーロン摩擦であることが明らかにした.これらは既に論文として報告している. 平成25年度は平坦C60薄膜の動摩擦が著しく小さいことが見出され,C60ナノベアリング機構の重要な因子が明らかになったと考えている.また,低荷重の測定を可能とするように,これまで利用した自己検知AFMカンチレバーに加えて,光てこAFMカンチレバーでの測定を可能とし,さらに低温動作の測定装置の準備も行っている.以上から(2)おおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で,平坦C60薄膜の動摩擦が著しく小さいことが見出され,C60ナノベアリング機構の重要な因子が明らかになったと考えている.現在,低荷重の測定が可能になり,また低温動作の測定装置の準備も進んである.今後,C60ナノベアリング機構の詳細を明らかにするために,低荷重と低温化での動摩擦測定を計画する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予備実験として開始したグラファイト‐Si3N4探針,C60-Si3N4探針間での動摩擦とすべり距離の測定より,動摩擦とすべり距離依存性の新しい知見が得られ,結果の考察等に力点をおいて研究を進め,論文にまとめて報告した。これにより使用計画の変更を生じている.研究の目標の1つであるC60ナノベアリングの温度特性については,現在測定の準備を進めているところである. 次年度では,研究の目標の1つであるC60ナノベアリングの温度特性については,現在測定の準備を計画する.このために必要する主な経費は実験のための消耗品費である.
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