2012 Fiscal Year Research-status Report
液中その場材料表面元素分析のためのレーザープラズマの最適化
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23560023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
作花 哲夫 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10196206)
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Keywords | レーザープラズマ / 水中プラズマ / レーザー誘起ブレークダウン分光法 / 分光イメージング / 発光分光 |
Research Abstract |
本研究では、水溶液中に生成させたレーザープラズマの発光スペクトルを空間分解測定し、プラズマ中の二次元での物質分布と温度分布を実験的に求めることに初めて成功した。 水中の固体表面をパルスレーザーで照射して表面をプラズマ化し、その原子発光スペクトルを測定することにより、水中の固体表面をその場元素分析することが可能である。このとき生成するプラズマは0.1 mm程度と非常に小さく、その中心部分の温度は数千度であることが知られている。プラズマの周りは室温であるので、プラズマ内部には非常に大きな温度勾配がある。また、プラズマにとりこまれた物質がプラズマ中で分布をもつことも考えられる。これらのことは、定量分析を目的として発光スペクトルを測定する場合、測定位置を規定する必要があることを意味している。本研究では、塩化ナトリウム水溶液中に銅ターゲットを設置し、パルス幅100 nsのロングパルスを集光照射することによりレーザープラズマを生成させ、発光スペクトルを得た。このとき、プラズマの顕微観察と光ファイバーによる空間分解でのスペクトル測定を組み合わせることにより、内部の温度分布と物質分布が精度よく得られることを示した。スペクトルには、溶液に由来するNa原子の発光とターゲットに由来するCu原子のピークが見られたが、それらのスペクトルを解析することによりプラズマ周縁部で溶液由来のNaの発光が相対的に強いことを確認した。また、この分布を詳細に調べると、ターゲット表面に垂直な方向と平行は方向では、分布が異なることが明らかになった。これはプラズマが球対称の形状でないためと考えられる。 レーザープラズマによる上記の分光分析法はレーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)とよばれるが、本研究の成果は水中LIBSの精度向上に貢献するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画では、プラズマ発光領域内の発光強度分布、気泡や周囲の液体とプラズマとの位置関係およびその時間変化を測定することとしていたが、おおむね計画に沿った成果が得られた。また、水中プラズマの多点での同時スペクトルは、これまでにほとんど測定例がなく、本研究の意義は大きいと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
水中に生成するレーザープラズマの発光スペクトルはパルスごとにばらつくことが元素分析への応用では解決すべき課題となっている。発光スペクトル、プラズマの画像、気泡の画像、発光強度などを同時測定し、それらの間の相関を調べることで、パルスごとのデータのばらつきのメカニズムを解明するように研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
装置は現有のものを利用できるので,次年度は主として実験を進める上で必要な消耗品、実験補助のための謝金、および成果発表のための旅費などに支出する。
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Research Products
(15 results)