2011 Fiscal Year Research-status Report
光検出走査型トンネル顕微鏡によるナノアンテナの解析
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23560032
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
櫻井 亮 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (60280731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 可為 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (60573756)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アンテナ / プラズモン / 走査型トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
ナノスケールのアンテナ(ナノアンテナ)の機能を詳細に調べて、微小センサーや光検出デバイスなどに有効である受信・送信能力を持つナノアンテナを試作することを目的としている。評価手法として光検出走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いた。トンネル電子による非弾性散乱を局所光源として用いるアイデアであり、ナノアンテナに表面プラズモンを誘起して、放射減衰過程で放射された光を遠隔場で検出する。ナノアンテナと局所光源との間で起こる光やエネルギーのやり取りを光源の電子励起効率や遠隔場域での光強度や分布を通して調べる。光源の位置は高い空間分解能で特定できるため、局所応答の結果をナノアンテナの設計指針にフィードバックする。基礎特性を掌握するために、金のナノ構造を電子線リソグラフィーやマスクを用いた手法で作製した。設計通りのナノ構造が作製できていることを、走査電子顕微鏡で確認した。さらに、放出光の指向性を計測するために、光ファイバー束を用いた集光システムラインを独立に2ライン作製し、微弱光を同時に計測できるシステムを構築した。一方、ナノアンテナの高機能化を目指し、酸化物ナノワイヤと金属ナノワイヤの組み合わせて機能的なナノアンテナを作製する実験を実施した。この実験では、金属ナノ構造に誘起される表面プラズモンと酸化物ナノ構造に生じるエキシトンとの結合を利用して、アンテナの高機能化を探索するものである。予備実験として、ワイドバンドギャップの酸化物ワイヤを作製して、基礎特性を確認した。電気炉を用いた気相性長法におけるナノワイヤの成長条件(ガス圧、基板温度、基板の配置)を最適化することで、結晶性の良い単結晶ワイヤを作成した。ワイヤは、ガスセンサーやデバイスとして動作し、フォトルミネッセンスの計測からエキシトン励起に伴う光学特性を示した。今後、光検出STMを用いて局所的な光学特性を計測する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ナノアンテナの特性を調べるために作製した走査型トンネル顕微鏡の安定性が若干不足しているため、安定したフォトン像が得られにくかった。走査型トンネル顕微鏡の基本部分の作り直しを始めたため、発光実験を再開するまでに多くの時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に予定していたナノアンテナからの指向性のある発光現象を直接励起法と間接励起法で調べ、ナノアンテナの指向性関連の基礎実験を中心に光検出STMを用いた発光実験を行う。 これらの結果を基にして、光源とアンテナの幾何配置の効果を中心に研究を行う。探針で微粒子や分子を電子励起する。その励起エネルギーによって光源の近傍に位置する複数のナノワイヤに表面プラズモンを誘起し、放射された光を検出する。光源の位置を変えた実験を行い、長さの異なる複数のナノワイヤに誘起されるプラスモンの位相、強度、互いの相関を解析する。マクロなアンテナ理論で使われるアンテナ間の相互輻射インピーダンスの概念がナノアンテナに適用できるかを確認し、解析モデルを構築して、効果的なナノアンテナの設計概念を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
作製が遅れた真空化への対応に昨年度の繰越研究費を使う。システム構築に必要な部品購入に今年度の研究費を使う予定である。さらに実験遂行に必要な光学部品、電子部品、材料や試薬代として用いる予定である。
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Research Products
(3 results)