2012 Fiscal Year Research-status Report
ウォークオフ補償周期構造を持つ高効率深紫外波長変換デバイスの開発
Project/Area Number |
23560042
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
庄司 一郎 中央大学, 理工学部, 教授 (90272385)
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Keywords | BBO / ウォークオフ / ウォークオフ補償構造 / 波長変換 / 紫外レーザ / 第2高調波発生 / 常温接合 |
Research Abstract |
本研究はBBO結晶の新しいウォークオフ補償構造を常温接合を用いて作製し,高効率で高出力の深紫外光を発生することを目的としている.昨年度は厚さ1mmのプレート4個と,両端にそれぞれ厚さ0.5mmのプレートを貼り合わせた全長5mmの補償構造デバイスを作製し,バルクBBO結晶の約1.8倍となる2.2mWの紫外光出力を得て,有用性を確認することができた.そこで今年度は,厚さ0.4mmのプレート12個と両端に厚さ0.2mmのプレートを貼り合わせた全長約5mmの補償構造を作製し,さらなる効率の向上を目指した. まず,精度±0.4度程度の位相整合角で切り出した,複数個の長さ6.5mmのBBOバルク結晶に対し,位相製合角を±0.1度以下で測定し,そこから厚さ0.4mmと0.2mmのプレートを複数切り出し表面粗さ1nm以下で両面研磨した.それらを結晶c軸の向きが面対称となるよう配置し,常温接合を用いて貼り合わせた.その際,これまでは接合を行うたびに大気開放・試料セッテング・真空引きをする必要があったのを,常温接合装置の改良を行うことで,最大10回程度まで連続的に接合を行うことが可能となり,プロセスの大幅な効率化を図ることができた.これにより,上記構造のデバイスを作製することに成功した. 波長変換特性の評価には,測定用光源として波長532nmの連続発振緑色レーザを用い,レンズでビーム半径60um程度に集光し試料に入射した.その結果,発生した紫外レーザ光のビーム形状は,昨年度の新規補償構造に比べさらに円形に近づき,ウォークオフ補償効果が改善していることを確認できた.ただし,紫外光への変換効率の向上は見られなかった.この原因は,切り出したプレートの位相整合角からのずれにばらつきがあるためと考えている.今後は切り出し精度をさらに向上することにより,効率の改善を図る予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規ウォークオフ補償構造による紫外光波長変換の効率をさらに向上するため,今年度は各プレートの厚さを昨年度より薄くし,かつ,接合個数を増やしたデバイスの作製を行った.昨年度までは接合を行うたびに大気開放・試料セッテング・真空引きをする必要があったのを,今年度,常温接合装置の改良を行うことで,最大10回程度まで連続的に接合を行うことが可能となり,プロセスの大幅な効率化を図ることができた.これにより,上記構造のデバイスを作製することに成功した. 発生した紫外レーザ光のビーム形状は予想通りに改善されたが,紫外光出力そのものは増加しなかった.しかしながら,プレートの切り出し精度をさらに向上することにより解決できると考えられるため,研究はおおむね順調に進展していると評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で,各プレートの厚さを薄く,かつ,接合個数を増やした構造では,各プレートの位相整合角からのずれの影響が大きくなることが明らかになった.そこでまず,精密回転ステージを用いることにより,各プレートの位相整合角からの誤差を0.05度以下に低減し準備する.そして初めに,厚さ0.4mmのプレート11個と両端にそれぞれ厚さ0.2mmのプレートを貼り合わせた長さ5mmの補償構造を作製し,以前作製したデバイスとの比較を行う. 紫外発生効率が改善したことが確認されれば,最終的な目標である,厚さ0.4mmのプレート24個と両端にそれぞれ厚さ0.2mmのプレートを貼り合わせた長さ10mmの補償構造を作製しと評価を行い,バルク結晶と比べ9倍程度の効率向上が達成されるか確認する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度,常温接合装置の改良を行い多数個のプレートを連続して接合することが可能となった.その開発過程で予定より多くのBBO結晶が必要となり,前倒し支払請求を行った.次年度使用額は,前倒し支払額を全額使用せずに済んだため発生したものである.したがって,次年度は最初の計画より使用できる金額が少なくなるが,今年度の研究で課題に対する解決策が明らかになったので,問題なく研究を遂行し当初の目標を達成できると考えている.
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Research Products
(12 results)