2011 Fiscal Year Research-status Report
光照射によるナノ領域の光物性制御の理論解析と高密度光メモリへの応用
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23560045
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
佐野 陽之 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (80250843)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 光記録 / 超解像 / 第一原理計算 / 光学誘電率 / 連成シミュレーション / 国際情報交流 / オーストリア |
Research Abstract |
(1)高温・溶融状態の光学誘電率の第一原理計算独自開発してきた光学応答計算コードを金属材料に適用した場合の予備計算を行った。Ni表面系に関する計算結果は、対応する実験結果(STM発光スペクトル)と良く一致し、開発した計算プログラムで光学応答の起源を解析できることを確認した。また、第一原理計算ソフトウェアであるVASPを導入し、チュートリアルにもとづく多数の予備計算を行い、VASPにおける計算パラメーター等の設定に関する習熟を図った。(2)光伝播-熱伝導の連成物理シミュレーション光ディスク内の電磁波伝播と熱伝導の連成シミュレーションを行ったところ、超解像現象(機能層のより少し下の光強度分布が回折限界より細くなる)を計算によって再現することに成功した。このシミュレーション結果は、実験データとの比較により妥当であることを確認した。超解像再生の最適条件を見つけるため、機能層材料を変えたシミュレーションを行った。熔融により光吸収が増大するInSbを機能層とした場合には、光遮蔽領域の横移動による漏れ光の効果が超解像の発現機構であることが分かった。また、熔融より光吸収が減少するSb2Te3を機能層とした場合には、光透過領域の横移動による実効窓幅の減少が超解像の発現に寄与していることが分かった。超解像現象を実際の光ディスクとして応用する場合、記録ピットからの反射光シグナルを評価する必要があり、「光ディスク内の電磁波伝播シミュレーション」と「集光レンズ系の波動光学計算」を組み合わせた新しい評価方法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高温・熔融状態の光学誘電率の第一原理計算の部分は、ソフトウェアVASPの導入と使用法の習熟に時間がかかったため計画より少し遅れている。一方、光伝播-熱伝導の連成物理シミュレーションの部分は計画より進み、H24,H25に予定していたSbTe系の計算と超解像の最適材料と層構造の探索を前倒しで進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
高温・熔融状態の光学誘電率の第一原理計算の部分は、ほぼ当初の計画通り進めていく。H24年度は、InSbの光学誘電率計算とその妥当性を実験データから検証する。また、酸化物系及びカルコゲナイド系に関しては、結晶状態の予備計算を行っていく。光伝播-熱伝導の連成物理シミュレーションの部分は、記録ピットからのシグナル評価が応用上重要であることがわかってきたため、H23年度に開発した評価方法を実際の系に適用していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では、H23年度とH24年度に比較的小規模な計算用ワークステーション(WS)(100万円程度)を1台ずつ購入してクラスタシステムを構築する予定であった。しかし、光伝播-熱伝導の連成物理シミュレーションの予備計算等を行っていく中で、100GB以上のメモリーを搭載した1台のWSの方が計算効率が高いことが分かった。そのため、H23年度で小規模なWSを購入するのをやめた。その未使用研究費とH24年度の研究費を合わせて1台の中規模なWS(200万円程度)を購入することにする。また、計算データを保存する外部記録ストレージの購入と計算及び解析のためのソフトウェアの購入・更新を行う。
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