2014 Fiscal Year Annual Research Report
光照射によるナノ領域の光物性制御の理論解析と高密度光メモリへの応用
Project/Area Number |
23560045
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
佐野 陽之 石川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80250843)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 光記録 / 超解像 / 第一原理計算 / 光学誘電率 / 連成物理シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
<最終年度の研究実績> 1.結晶Sb2Te3の電子状態および光学応答の第一原理計算を行った。Sb2Te3の特徴は、バンド間遷移による光学吸収が光子エネルギーhω=1-3eV付近で大きく、InSbより約1eV低エネルギー側にシフトしていることが分かった。この違いが、融解による光吸収変化の振る舞いに違いを生じさせると考えられる。Sb2Te3の液体状態に関しては、MD計算がほぼ終了した。 2.Sb2Te3を機能層とする光伝播-熱伝導の連成物理シミュレーションを詳細に行った。その結果、融解領域(光透過領域)のサイズが従来予想されていた値よりずっと大きいことが分かった。また、超解像のための微小光学窓として機能するためには、光ディスクの回転による熱移動によって融解領域がシフトすることが本質的に重要であることを明らかにした。 <研究期間全体の研究実績> 光伝播-熱伝導の連成物理シミュレーションシステムの開発を行い、InSb及びSb2Te3を機能層とする超解像現象をシミュレーション上で再現することに成功した。融解によって光吸収が増大するInSbと光吸収が減少するSb2Te3のそれぞれの超解像発生メカニズムを明らかにし、様々なパラメーター(入射光パワー、機能層膜厚、ディスク回転速度等)に関して超解像の最適条件を見つけた。InSbに関しては、微小ピット構造のシミュレーションから超解像状態の応答関数を求め、超解像状態では特異なダブルピーク構造になることを明らかにした。 機能層材料として重要なInSbとSb2Te3の融解による光学応答の変化の起源を調べるため、第一原理計算ソフトウェアVASPを用いて電子状態及び光学誘電率計算を行った。InSbの電子状態は融解によって半導体から金属へ変化し、これが光学誘電率変化を引き起こすことを確認した。また、InSbとSb2Te3の融解による光学誘電率変化の違いは、結晶状態のバンド間遷移の違いによると考えられる。
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