2011 Fiscal Year Research-status Report
超小型・完全モノリシック型光パラメトリックチャープパルス増幅器の開発
Project/Area Number |
23560046
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山川 考一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (40360408)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 応用光学 / 光パラメトリックチャープパルス増幅 / スペクトル位相 / 高機能レーザー |
Research Abstract |
低炭素化社会の実現に向けた次世代高機能加工技術を確立するため、堅牢で安価、高安定、小型、メンテナンスフリーな高出力フェムト秒レーザーの開発を行うことを目的とし、今年度は下記2項目について研究開発を実施した。 1. モノリシック型フェムト秒光パラメトリックチャープパルス増幅器の開発 光パラメトリックチャープパルス増幅に際しては、数ピコ秒のチャープパルスが必要となり、このためパルス伸張用のガラスブロック(50 mm x 45 mm x 10 mm)を設計、製作した。ガラスブロックはSF11ガラスで製作し、その屈折率は使用するレーザーの中心波長1020 nmに対して、1.755である。このガラスブロック内をフェムト秒モード同期発振器からの種光が多重反射することにより(ガラスブロック内での伝搬距離は50 cm)、数ピコ秒のチャープパルスを発生させる予定である。 2. スペクトル位相計測装置の開発 OPCPA出力光のスペクトル位相を測定するために、すでに構築したエタロンによって生成される2波長のチャープパルスと被計測光との周波数シェアリング干渉を計測する光学装置の改良を行った。これまでは受光器に一次元型分光器を用いていたが、これを2次元型CCDに変更することによって、フェムト秒領域だけでなく数ピコ秒のチャープパルスの位相もリアルタイムで計測することが可能となった。モード同期発振器出力及び増幅前のチャープしたOPA シグナル光を用いて、各計測時の最適エタロン間隔等の装置セッティングを事前に行い、OPA 位相計測を効率的に行える様準備する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開発課題の最も重要なアイテムであるパルス伸張・圧縮用のガラスブロックの設計、製作を今年度に完了しており、当初の研究計画通り進捗している。一方、当初予定にはなかったスペクトル位相計測装置の改良を実施したことにより、次年度以降に予定している光パラメトリックチャープパルス増幅実験における実験条件の最適化などがリアルタイムで行えるようになったため、効率的かつ高精度に研究開発を進めることが可能となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
基幹装置についてはパーツと計測装置の準備がほぼ終わっており、次年度早々の完成を目指してシステム化を進める予定である。これまで数平方メートル級の装置サイズを有していたものが手の平サイズにまで小さくすることが可能となり、我が国のものづくり技術の底上げ、国際競争力の強化に貢献できると考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度予定していたガラスブロックとBBO結晶との接合は、次年度に予定している光パラメトリックチャープパルス増幅実験における基礎データの取得後、最も装置が安定に使用できる条件を確立した後に実施する予定である。実験に用いる消耗品や交換部品はあらかじめ想定されており、これらの欠損によって実験が停滞しないようあらかじめ準備する予定である。
|