2012 Fiscal Year Research-status Report
超小型・完全モノリシック型光パラメトリックチャープパルス増幅器の開発
Project/Area Number |
23560046
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山川 考一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (40360408)
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Keywords | 応用光学 / 光パラメトリックチャープパルス増幅 / スペクトル位相 / 高機能レーザー |
Research Abstract |
低炭素化社会の実現に向けた次世代高機能加工技術を確立するため、堅牢で安価、高安定、小型、メンテナンスフリーな高出力フェムト秒レーザーの開発を行うことを目的とし、今年度は下記の項目について研究開発を実施した。 1. モノリシック型フェムト秒光パラメトリックチャープパルス増幅器(OPCPA)の開発 昨年度に製作を完了したパルス伸張・圧縮用のガラスブロックを用いて、フェムト秒モード同期発振器からの種光のパルス幅をガラスブロックの分散により伸張し、ピコ秒のチャープパルスを発生し、光パラメトリック増幅試験を行った。 フェムト秒モード同期発振器(中心波長1020 nm、パルス幅57 fs)の出力パルスを2つに分け、一つをポンプ光光源であるYb:YLFレーザーのシード光に、もう一方をOPCPAのシグナル光として用いた。Yb:YLFレーザーの出力はパルス圧縮器で2 ps程度まで圧縮された後に2倍波に波長変換され、OPCPAのポンプ光としてOPA結晶(BBO、タイプI、7mm厚)に入射した。実験時のポンプ光エネルギーは約1 mJであり、81 GW/cm2の強度に相当する。OPCPAのシグナル光はガラスブロック内部を多重反射することによりピコ秒までパルス伸張した後、OPA結晶に入射することによりポンプ光により増幅され,増幅利得2000倍が得られた。さらに、増幅したシグナル光と共に発生したピコ秒のアイドラー光はシグナル光とほぼ同等の出力が得られていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開発課題の最も重要なアイテムであるパルス伸張・圧縮用のガラスブロックを用いてパルス伸張と光パラメトリック増幅まで成功しており、当初の研究計画通り進捗している。さらに光パラメトリック増幅およびアイドラー光のパルス圧縮を最適化するために必要なスペクトル位相測定装置はすでに整備されているため、次年度に行う予定の最適化試験に早期に着手できる体制にある。
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Strategy for Future Research Activity |
すでにパルス伸張・光パラメトリック増幅まで達成しており、次年度早々にアイドラー光パルス圧縮試験を行いシステムの完成を目指す。また、本研究開発で重要な課題である長時間にわたる耐久性能試験を実施し、近い将来のフェムト秒レーザー加工用プロトタイプ機開発のための基礎データを取得する。 これらの研究開発により、これまで数平方メートル級の装置サイズを有していたものが手の平サイズにまで小さくすることが可能となり、我が国のものづくり技術の底上げ、国際競争力の強化に貢献できると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に予定しているアイドラー光パルス圧縮試験における基礎データの取得後、最も装置が安定に使用できる条件が確立した時点で、耐久性能試験を実施するために必要な実験設備を整備する予定である。また、実験に用いる消耗品や交換部品はあらかじめ想定されており、これらの欠損によって実験が停滞しないようあらかじめ準備する予定である。 また、得られた研究成果をまとめ、国内外の学会で発表するための出張旅費に充てる。
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