2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560048
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
稲場 肇 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (70356492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 一元 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (50462859)
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Keywords | 光周波数コム / 光コム / 高安定共振器 / 高安定レーザ / 狭線幅レーザ / 光時計 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高安定共振器を用いて狭線幅化された連続発振レーザーの線幅を、光周波数コム(光コム)を介して別な波長に転送すること、および系を単純化して性能と信頼性を向上させるべく、連続発振レーザーを介さずに直接光コムを高安定共振器に安定化して狭線幅化された広帯域光コムを実現することである。 平成24年度は、通常のCWレーザ(半導体レーザ:LD)を高安定光共振器に安定化した。具体的には、波長として共振器の分散の設計値がゼロとなる1535 nmを選び、レーザー光を共振器に結合させ、LDの電流、および温度に帰還制御することにより共振器のTEM00モードに安定化した。次に、既存の高速制御型光コムを用い、既存の高安定レーザ(波長1064 nm)とのビート信号を観察し、周波数安定度、および線幅を測定した。その結果、周波数安定度として1~1.5 x 10^-14@1 s、そして10 Hz以下の線幅を得た。また、この方法を用いて、光格子中のYb原子の分光実験を行い、約20 Hzの線幅観察に成功した。これは本課題の目標の一つ「線幅転送」である。 また、もう一つの目標である、CWレーザを用いない、光コムの共振器への直接安定化のため、オフセット周波数をゼロにするための周波数シフター(AOM)を用意し、LDからのレーザ光をAOMを介して共振器に結合させる光学系を構築した。光コムの繰り返し周波数(約46 MHz)は高安定光共振器の縦モード間隔(約1978 MHz)の43分の1となっており、 光コムを共振器に導入するための準備が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、通常のCWレーザ(半導体レーザ:LD)を高安定光共振器に安定化し、周波数安定度として1~1.5 x 10^-14@1 s、そして10 Hz以下の線幅を得るとともに、本課題の目標の一つである「線幅転送」を実現した。また、最終目標である、CWレーザを用いない、光コムの共振器への直接安定化のための準備を進め、光コムを共振器に導入するための準備が完了した。 当初の目的の一つを達成し、最終目標の準備が整ったことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
光コムを高安定共振器に導入し、Pound-Drever-Hallロックを安定化する。光バンドパスフィルタにより光コムの波長帯域を制限して光増幅を行う。光増幅器ではパワーを上げるとともにパワーサーボを行う。増幅器からの出力光は変調器を経て高安定光共振器に入射し、Pound-Drever-Hallロックのための誤差信号を反射光または透過光から得る。誤差信号はループフィルターを介して光周波数コムにフィードバックされ、光コムが高安定共振器に安定化される。その光周波数コムを広帯域化して、既存の狭線幅化レーザー(1064 nm)とのビート信号を観察することにより安定度および線幅を評価する。24年度に行った、CWレーザーでの安定化を比較対象とする。性能に影響を及ぼす多数のパラメーター(波長、波長帯域、変調方法、変調周波数、および光増幅器の利得など)を調整しつつ最適解を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本実験に必要な物品の一部である光増幅段の偏波コントローラー、そしてWDMカプラなどの消耗品を調達するのに使用する予定である。
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