2013 Fiscal Year Annual Research Report
クラッディング励起システムを利用した有機光増幅器の開発
Project/Area Number |
23560050
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
望月 博孝 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (60392669)
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Keywords | 高密度励起 / 結晶作成 |
Research Abstract |
近年、耐熱性を有し、結晶化時に高密度励起下において自然放射増幅光(ASE)を観測可能なチオフェン/フェニレンコオリゴマー(TPCO)が、疑似連続光で励起しても発光能の劣化がないことが見出されている。これらの材料は今までのレーザー色素が抱えていた濃度消光という問題がない上、耐久性もあるため、現在まで有機レーザー色素がなし得なかった連続光励起による信号光増幅への期待がもてる。H25年度の目的としてTPCOの中でも緑色のASEを発するBP1T結晶の中に赤色発光色素を導入することである。そこで共蒸着法を用いて基板上に製膜した後、熱処理によって多結晶化させるこのプロセスを行ったが、良好な発光特性を得ることができなかった。そこで、基板上に貧溶媒を滴下し、その上に溶液を滴下する湿式結晶作成法を開発した。まずはBP1T容積で行った結果、貧溶媒をDMFにした場合、基板上にはサブミリメータサイズの単結晶が形成できていることが、偏光顕微鏡による観察及びXRD測定によってわかった。これら結晶膜にフェムト秒レーザーを照射してそこからの発光を観測した。発振周波数が1kHzという疑似連続的な励起レーザー光照射下で今回評価したBPIT結晶膜で発光のレーザー閾値が観測されること、この実験を繰り返し行っても膜の発光に関する劣化がみられないことなどがわかった。これらのことからBP1T結晶膜が優れた増幅活性剤となり得ることが示された。
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