2012 Fiscal Year Research-status Report
微小液滴マイクロリアクタのための音響流メカニズム解明
Project/Area Number |
23560054
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
近藤 淳 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (10293606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横嶋 哲 静岡大学, 工学部, 助教 (80432194)
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Keywords | 弾性表面波 / 非線形音響 / 音響流 / ストリーミング力 |
Research Abstract |
平成24年度の研究目的の一つは「観察結果に基づくモデル化」である.ハイスピードカメラによる観察により,静止している液滴に対して,SAW入射直後は不規則な音響流が発生するが,およそ0.4秒程度で安定した流れに変わる.入射直後の不安定性を無視すると,このときのモデルは次のように考えることが出来る.圧電結晶上の液滴(半球)に対し,液滴/圧電結晶界面に音源が存在する.この音源はSAW伝搬方向に指数関数的に減少する縦波を液体中に放射する.放射角度はレイリー角となる.このようなモデルを解析すれば,実験で観測されたSAWからの縦波放射により生じる1次流,および1次流により発生する2次流が解析可能と考えている. 一方,動いている液滴に関するモデルは複雑である.従来は,液滴は形を保ちながらSAW伝搬方向に搬送されると考えられてきた.しかし,実際にはストリーミング力により液滴はSAW伝搬方向に伸びる.ただし,SAW入射側は動かない.力が弱いとき,表面張力による復元力により,SAW入射が止まると液滴は元の形になる.力が大きくなると液滴の伸びが大きくなり復元力では元に戻らない.そして,液滴前方に引きずられるように後方は移動する.また,圧電結晶上の液滴の初期接触角が90度以上であってもSAW入射により90度以下(親水性)となる.このため,この部分が拘束(付着力)となることが分かった. モデル化した結果を数値解析するため有限要素法ソフトウェアを購入した.モデル化した結果を用いて解析を行う準備をしている段階である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
数値解析のために購入した有限要素法ソフトウェアを使いこなすまでに至っていないため,簡単な計算しか行えていない.この点がやや遅れている原因である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度,平成24年度の成果を受けて,本研究の目的である「なぜ弾性表面波により搬送できるのか,液滴の境界が液滴内の音響流にどのように影響するのか,固液界面の接触角によりレイリー角は影響を受けるのか,液滴表面にはファラデー流れのような水面で見られる流れが生じるのか,さらにはSAWの振幅にこれらは依存するか」の解明を行う.特に,接触角についてはSAW入射により変化することが実験により明らかになっている.この点について,解析と実験により詳細な検討を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)