2011 Fiscal Year Research-status Report
指向性比例計数管とデジタル波形処理による加速器中性子源のスペクトル評価
Project/Area Number |
23560055
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
宮丸 広幸 大阪府立大学, 地域連携研究機構, 准教授 (80243187)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 比例計数管 / 中性子 / エネルギースペクトル / 放射線計測 / デジタル処理 |
Research Abstract |
当初の研究計画に従い、指向性比例計数管についての計測実験を小型の密封中性子源を用いて行っている。この結果、長時間の測定の場合、応答信号の増幅が時間と共に大きくなり、出力が安定しないという問題が発生した。この原因は計数管に高電圧印加の時間経過と共にプラトー領域が縮小していることによる事が分かった。現在この原因を検討中であるが、比例計数管の芯線には高抵抗にするためカーボン素材をベースとした特殊素材を用いており、これが何らかの影響をしている可能性が高い。この信号不安定性はアナログ出力信号の波高ならびに波形変化を引き起こす。この検出器の出力の変動の問題から従来の検出器に対する対処法の検討に加え、検出部の新規製作を検討している。しかしながら現状ヘリウム3ガスの購入が困難であり、代替としてBF3ガスや、位置検出のみに特化したシンチレーション型の検討も今後進める。 次にFPGAにてデータ波形処理を施すのは中盤から最終段階にて行う方が見通しがよく、初期段階ではPCに接続された専用のADコンバーターにて波形取得ならびに解析を行うこととしておりその実験を行った。波形データの取り込みに関してはまずADCであるCAEN N1728にてサンプリングの予備的実験を行った。しかしながら、これを駆動させるために付随するソフトウェアでは波形データの取り込みは連続動作するものではなく、またプリトリガへの対応も難しく、データ保存形式も煩雑であることが実験により分かった。このため現在はADCをインターフェース社製のものに切り替え、波形データ取得のプログラム開発等を検出器の開発と並行して行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は交付初年度であったが、震災の影響で当初の交付が遅れたのに加え、交付割合が7割であったことから、今後もその割合が継続する場合には予算不足のため方針を変更する必要があり、年度途中まで状況を見極める必要があった。結果的に減額はないことになったが、計画の見直しに時間が必要であった。また、現有する指向性の比例計数管の動作安定性に問題が生じたため、その対策の検討が必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の位置敏感型比例計数管の動作不安定性についてはその対応策を検討する。また検出部の改良としてBF3ガスや、位置検出のみに特化したシンチレーション型の検討と実験を今後進める。波形取得に関してはADCの検討に加えて波形データ取得のプログラム開発を引き続き進める。今後は中性子の実測波形の収集を進めて波形データのデジタル処理の最適化を実験的に進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動作が不安定な位置敏感型比例計数管の代替として、指向性の特徴を残しながら他の比例計数管またはシンチレーターなどにより同等の位置測定を可能にすることを検討し、その実験を行うための設備、資材を購入予定である。また本研究の遂行上必要なADCならびに開発ソフトウェアについても導入を行う。
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