2013 Fiscal Year Research-status Report
指向性比例計数管とデジタル波形処理による加速器中性子源のスペクトル評価
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23560055
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
宮丸 広幸 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80243187)
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Keywords | 比例計数管 / 中性子 / エネルギースペクトル / 放射線計測 / デジタル処理 |
Research Abstract |
位置検出の原理はそのままにPRガスによる比例計数管に固体ホウ素板を複数枚挿入しその領域ごとのα線収量を測定することで従来のHe3比例計数管と同等の性能を有する新しいタイプの比例計数管を設計した。純度のよい窒化ホウ素の板を当初使用予定であったが、板状のものは薄くする加工が難しく、またホウ素の含有量としても多すぎて一枚あたりの中性子の吸収が高すぎることがわかった。このため窒化ホウ素粉末をプラスチック製母材に添加し固化させたものを用いることを検討し実験した。ホウ素の均一な分布を実現するための母材の選定と実験を行ったが、ホウ素の表面分布による収量差が生じることからα線放出量の測定と規格化が必要であることが分かった。また、壁効果や深部からの放出等の影響によりエネルギー分布をもつため、より有効な波高、波形弁別回路を構築せねばならないことが実験により明らかになった。これに対応するためデジタル波形処理についてはLabview FPGAモジュールとデジタイザを組み合わせてパルス波形の取得ならびに波高データの集積を行うシステムを開発中である。中性子スペクトルの推定についてはベイズ推定法を用いているが、これまで高エネルギー側の再現性が悪いことが問題であったが、透過中性子の扱いに関してアルゴリズムを改良しスペクトル推定の向上を現在進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初用いる予定であった窒化ホウ素板は硬度が高く、加工が非常にしにくいこともあり、その代案として窒化ホウ素粉末をプラスチック等の母材にまぜる手法に変更を行った。このホウ素含有板の作成とその有効性の検証に時間がかかった。またFPGAを用いたデジタル処理についてもより迅速にシステムを構築するため、LabviewFPGAモジュールとデジタイザを組み合わせた波形取得、処理システムを開発しているがプログラムの開発にも時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
検出器の実機を作成し、中性子源を用いて実験的な性能評価とシミュレーションによる評価を今後行う。また、また、中性子スペクトルの推定に用いているベイズ推定法については高エネルギー部の精度を高める工夫を今後行う。またデジタル波形処理についてはS/Nの向上だけでなく、波形解析によりα線放出事象の特定と効率的な抽出を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画で用いていたヘリウム3ガスを用いた比例計数管については、昨今のヘリウム3ガスの市場への供給不足と価格高騰のため、当初予定していたようなヘリウム3ガスの利用の仕方は予算の都合上困難となった。このため、従来の位置検出の原理はそのままにPRガスによる比例計数管に固体ホウ素板を複数枚挿入しその領域ごとのα線収量を測定することで従来のHe3比例計数管と同等の性能を有する新しいタイプの比例計数管を設計した。この新しい検出器は従来方法同等性能を発揮することがシミュレーションにより明らかとなったが、実機の制作上の問題点がいくつか発生した。現在ではその問題点は克服しているが、全体として検出器の作成に時間がかかったため研究期間の延長が必要となった。 PRガスによる比例計数管とホウ素板を用いた検出器の実機のテストならびに、中性子源による検出器性能評価評価を次年度に行い、これまで開発したLabview FPGAモジュールとデジタイザを組み合わせた熱外中性子検出システムの完成を目指す。
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