2011 Fiscal Year Research-status Report
電解質を用いたフレキシブルシート型剪断応力センサの開発
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23560060
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
外山 滋 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害工学研究部, 研究室長 (50360681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 隆 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 義肢装具技術研究部, 義肢装具士 (40415360)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | センサ / 剪断力 / 電解質 / シート |
Research Abstract |
センサの設計に際し、センサ内部の電流密度を有限要素法により予測した。交付申請書の当初計画では24年度に本格的な計算をする予定であるが、それに先立ち静的なモデルでの簡単な計算を行った。その結果、電極の一部に電流が集中するため、ほぼ電流が0の部分については電極を形成する必要が無いこと、すなわちその電極を省略した分だけセンサ面積を小さくできることがわかった。今後、センサに剪断力を加えたときの応答について予想できる様な計算モデルに発展させる予定であるが、現時点の静的なモデルでも有限要素法による計算が有用であることが確認された。 センサ構造の改良(本研究予算申請前のプロトタイプと比べて)を行った。単一の内部セルを持った構造から、二層構造へと改良することにより、圧力からの影響が受けにくく、剪断力のみに応答するセンサが得られた。 電気化学的評価法によりセンサ内部液としてエチレングリコール溶液を用いることが水溶液より優れていることを確認し、また測定条件として5kHzの交流をセンサの電極間に加えることが良いことを確認した。その後、交付申請書の計画に従い、センサ応答と剪断力との関係について調べた。電極間に流れる電流のコンダクタンス成分が剪断力に対してリニアであることが確認できた。 本研究予算にて購入した低温恒温恒湿器を用いて、センサの温度特性について評価した。また、蒸着によって形成した電極パターンが湿度の影響を受けやすいことがわかり、今後の改良の方向性が示唆された。 交付申請書の計画に従い、小型の測定システムを開発した。当初計画とは多少仕様は異なるが、アナログICを利用した回路と市販の超小型レコーダーを組み合わせることにより、電池で駆動され携帯可能なものを作製した。今後のセンサの応用測定時に役立つものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、交付申請書に記述した様に、フレキシブルで厚みの薄いシート状の剪断応力センサを開発することである。本研究では従来主として行われてきた研究の様にSi基板への微細加工を伴うMEMS型センサではなく、液体電解質を使用することにより簡単な構造でこれを実現することに特徴がある。なお、本研究では交付された予算により単にセンサを開発するのではなく、液体材料を使用したセンサが新たなセンサのジャンルになりうることを提唱できる様にしたい。 そのためには、優れた液体電解質やセンサ駆動条件を見出すこと、センサ設計に有限要素法を導入するなど基礎的な研究が必要である。その一方で、応用例を示すことにより実用的なセンサであること証明する必要もある。そこで、交付申請書の実施計画では、基礎設計技術の開発から、応用システム開発までの計画を記載している。 必ずしも交付申請書の実施計画の時間順序通りになってはいないが、有限要素法による計算、センサ構造の改良、センサ応答の評価、周辺回路システムの構築などのいずれにも着手し、それぞれ成果を上げている。そのため、概ね順調に進んでいるものと思われる。 なお、分担研究者も研究(応用計測)に着手しているが、まだシステムの設計段階であるため、現時点で予算は使用していない。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、当初の研究計画に沿って、有限要素法によるセンサ応答の予測計算を行いたい。既にセンサの構造が変化しない静的なモデルでの計算を試み、センサの小型化に有用な情報を得ているが、今後はセンサの構成材料の物理的特性(粘弾性など)を取り入れ、センサに剪断力を加えた場合の変形について予測し、さらに変形したセンサ内部における電流分布計算からセンサ応答の予測を行いたい。そして、これによりセンサ構造の改良へと繋げる道筋を確保したい。さらに可能ならば、センサに加える外力を動的に変化させたときの、応答の動的な変化を調べ、センサの応答速度の予測に繋げたい。 一方で、これまでの研究結果から明らかになった問題点についても課題として解決する必要がある。例えば、用いている電解質の温度特性に依存して、センサにも温度特性が表れることである。改良の方向性としては、簡単にはセンサと同一シート上に温度センサを形成し、剪断力センサの応答を温度補償することである。この温度センサも電解質を用いることで剪断力センサと同一プロセスで作製可能なものと考えている。しかし、理想的には剪断力センサが複数の電極をもつことから、電極間に流れる電流の関数として温度が測定できれば良いと考えている(剪断力とは独立した値として)。この点についても検討を行う。 これまでにセンサの小型化を試みているが、小型化に伴ってセンサ特性にバラツキが見られている。加工精度の問題と思われるが、加工精度に左右されにくいセンサ構造を設計する必要がある。この点は有限要素法計算による改良設計を期待している。 さらに、分担研究者を通しての応用計測に着手したい。センサの基礎を確立する以前の応用計測を実施することの意味は、センサの測定レンジが実用上どの程度のものであることが妥当かを決めるためである。応用測定の実施を目指して、回路システムの一層の小型化を進めることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既に多くの備品(センサの加工、評価用)については前年度に購入済みである。そのため、次年度は主として消耗品の購入が中心となる。内容としては、センサの試作に必要な材料、回路作製に必要となる部品、応用計測システムの作製に必要となる材料や校正に用いる市販センサなどである。 このうちセンサの試作には、プラスチックやゴム材料、蒸着材料、絶縁材料、接着剤などが必要となるものと思われる。回路作製にはマイクロコンピュータ等のIC類他、一般回路部品、コネクタ類、電源モジュールが挙げられる。今後のセンサのアレー化を予想し、アレーセンサシステムに対応した回路設計を行うため、それに対応してPICやPsOCなどのマイクロコンピュータを使用する必要がある。また、測定結果をパソコンに移すために小型レコーダーや無線LANなども利用することが考えられ、購入することが予想される。 応用計測としては分担研究者を通して義足への適用を予定しており、そのためにプラスチック材料などの簡単な部材が必要である。また、開発したセンサの現場での校正用に3軸センサなどを購入する予定である。 その他、これまでの研究成果の発表のための学会参加費、論文作成費(学会誌投稿費、英文校正費)などとして使用予定である。 なお、昨年度に未使用の予算が発生したが、これは年度末直前での学会参加に対する処理の他、年度をまたいでの物品の購入計画があったなどのためであり、次年度にそれらの費用が発生する。
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Research Products
(2 results)