2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23560063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 宇泰 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (90293670)
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Keywords | シミュレーション / 数値解析 / 偏微分方程式 |
Research Abstract |
複雑化した現代科学・工学の現場では,有限要素法によるシミュレーションが必須となっているが,一方で数値解析学の文脈では,方程式の数理的構造を活用することで汎用解法を遙かに超える専用解法を作る試み「構造保存数値解法」が,ここ数十年鮮烈な研究テーマとなっている.本研究は,前研究によりこの両者---有限要素法と構造保存数値解法---を結びつけて得られた「離散偏導関数法」を,現代科学・工学の最先端に耐えうるレベルまで引き上げるための基礎研究を行うことが目的である. この目的に対し,最終年度は,「任意の偏微分方程式に対する離散偏導関数法の一般的枠組の確立とその数値的評価」および「不連続Galerkin法の導入による計算量削減手法の検討」を行った. 前者においては,前年度までの研究で導入されていたL2射影作用素の概念が重要である.この概念を用いて,任意の偏微分方程式に対して,常に機械的に構造保存有限要素スキームを構成できることを,ほぼ完全な形で示した.この手順は,与えられた方程式の構造に応じて一意的に定められており,ユーザーは,枠組の手続きに明示した手順を追うことで,専門知識を必要とせず所望のスキームを構成できる.また,実際の問題では種々の境界条件に対応せねばならないが,上記の手順で構成した有限要素スキームは,有限要素法における標準的な境界処理と整合的であることも示した.さらに,本手法は構造保存有限要素スキームを構成するための手法であるが,副産物として,所望の変分構造を明示的に保つ混合型弱形式を発見する数学的な手続きをも与えていることを指摘した.これは,一般の有限要素法の文脈で有用である可能性がある. 後者においては,まず基本的な偏微分方程式群に対して,不連続Galerkin法に基づく構造保存スキームが構成可能であることを示した.
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Research Products
(6 results)