2011 Fiscal Year Research-status Report
2次元周期構造の特性解析とその電磁波素子設計への応用に関する研究
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23560072
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
横田 光広 宮崎大学, 工学部, 教授 (40191506)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 周期構造 / 数値解析 / 有効誘電率 |
Research Abstract |
平成23年度は交付申請書の計画に従い、主に以下の2つの観点について研究を進めた。1.1次元周期構造を積層化した2次元周期構造よる散乱電磁波を、多層膜解析と同様に各層での電磁波表現および各層での境界条件を適用して求める。2.周期構造を多層構造でモデル化を行う場合、基本となる1次元周期構造に対する有効誘電率が重要となる。Maxwell-Garnett法により求めた有効誘電率を持つ誘電体層に対する反射・透過特性とモーメント法の結果と比較し、その有効性を検証する。 観点1については、1次元周期構造の具体例として、フォトニック結晶グレーティングを取り上げた。散乱体を誘電体で形成した誘電体グレーティング、誘電体円柱で形成したフォトニック結晶グレーティングの場合及び誘電体スラブ内にフォトニック結晶グレーティングが存在する場合、さらに、誘電体グレーティング内にフォトニック結晶グレーティングが存在する場合を取り扱い、周波数フィルター特性の観点から数値的検討を行い、その有用性を示した。 観点2については、1次元周期構造における有効誘電率をMaxwell-Garnettの方法について検討を行ったが、物体の大きさが周期に比べて十分小さい場合のみ有効で、大きい場合に対して改善が見られなかった。そこで、1次元周期構造からの反射率および透過率をFDTD (Finite-Difference Time-Domain) 法を用いて数値計算し、同一の反射率・透過率を与える単層スラブの有効誘電率を求める方法を用いて検討を行った。周期構造の形状、比誘電率、周期に対する有効誘電率の適用範囲について調べ、反射率が0.6程度まで、厳密解と一致することが確かめられ、有効範囲の改善を図ることができた。この研究成果については、5月開催の電子情報通信学会電磁界理論研究会にて発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に記載されている2つの観点について、以下の理由から概ね順調に進展していると判断する。 観点1については、周期構造の多層化の一適用例として、フォトニック結晶グレーティングにおける反射・透過について検討を行った。この構造をさらに多層化する必要があり、その際に多層膜解析で用いられている境界条件の接続方法を採用するが、エバネッシェント波の取り扱いが完全に取り込んでいないためか、従来の報告結果と十分な一致を確認できていない。この点は今後の検討が必要である。 観点2については、申請交付書に記載されているMaxwell-Garnett法の適用範囲を示すことができた。しかし、適用範囲は実用上、必ずしも有用ではないため、数値計算をベースにした手法を適用して、有効誘電率の有効性について検討を行った。」その結果、今年度用いた手法は、周期構造の有効誘電率を求める方法として有効であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
多層膜解析での境界条件の接続については、エバネッシェント波の取り込みが完全に行われているかの観点からプログラムコードの検証などを行い、反射波・透過波の計算を精度良く行う事ができる環境を構築する。また、有効誘電率の計算においては、有効性の適用範囲について検証を行うとともに、改善を試みる。引き続き、以下の観点から研究を進める。1.景媒質が空気でない誘電体などで構成され、その媒質中に2次元周期構造を配置する場合について検討を行い、背景媒質が反射特性(透過特性)に与える影響を調べ、電磁波素子を設計する際の有用なデータを蓄積する。2.有効誘電率と空気の層を1 セットとした多層膜構を用いた2次元周期構造における反射・透過特性を調査し、有効誘電率を用いたモデル化の適用範囲を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度では物品費が予定額を下回ったが、これは平成24年度分と合算してデータ処理および学会発表用のノートPCを購入する予定である。人件費・謝金については、平成23年度に引き続き、データ整理やプログラム開発の補助に充てる。また、旅費については、名古屋で開催されるアンテナ・伝播に関する国際会議(ISAP 2012)や全国大会・研究会への参加に充てる。
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Research Products
(3 results)