2012 Fiscal Year Research-status Report
2次元周期構造の特性解析とその電磁波素子設計への応用に関する研究
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23560072
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
横田 光広 宮崎大学, 工学部, 教授 (40191506)
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Keywords | 周期構造 / 数値解析 / 有効誘電率 / 時間領域差分法(FDTD法) |
Research Abstract |
平成24年度は,主に以下の2つの観点について研究を進めた。 1.1次元周期構造からの反射率をFDTD法により計算し,等価な誘電体スラブの誘電率を数値的に求めた。 2.多層周期構造を1次元スラブ構造の多層化によりモデル化を行い,反射率から多層スラブ構造の有効誘電率を数値的に求め,その有効性を検証した。 観点1については,1次元周期構造の具体例として,円柱で構成された周期構造を考察の対象とした。まず,数値計算法の1つであるモーメント法により,円柱周期構造の反射特性を計算し,円柱に対して厳密解として知られている論文の結果と検討を行い,モーメント法の結果が信頼できることを確認した。その後,FDTD法を用いて,反射係数を数値的に求め,先のモーメント法と結果と比較し,十分な精度が出ていることを確認した。次に,円柱周期構造を一様な誘電率を持つスラブ構造に置き換え,このスラブ構造からの反射係数がFDTD法で求めた反射係数と同じになる誘電率(有効誘電率)を数値的に求めた。1周期に占める円柱の占有率や規格化波長に対する有効誘電率について,検討を行った。占有率が小さい場合,反射率が1になる場合においても,有効誘電率を精度よく求めることができることを確認した。得られた成果は,電子情報通信学会電磁界理論研究会,ソサイエティ大会,電気系関係学会九州支部連合大会において発表した。 観点2については,1次元周期構造の場合と同様の方法に2層周期構造の反射特性を数値的に求め,その結果をモーメント法等の手法と比較し,得られた結果の有効性を確認した。その後,1次元周期構造の場合と同様の手法により有効誘電率を数値的に求め,規格化周波数や1周期中に占める物体の面積の割合である占有率に対する有効誘電率の特性について,検討を行った。得られた成果については,電子情報通信学会論文誌に投稿している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載されている内容を踏まえ,以下の理由からおおむね進展していると判断する。 1次元周期構造の有効誘電率を数値的ではあるが,精度良く求めることを確認できた。さらに,この方法を多層周期構造に適用し,2層円柱周期構造の対する有効誘電率を求めることができることを確認した。一方,本研究の目的の1つである,1次元周期構造の有効誘電率を用いて多層周期構造の反射・透過特性を見積もるまでには至っていない。さらに,実用的な観点から多層周期構造に対する反射・透過特性の最適パラメータを求めるためのプログラム開発が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
多層周期構造における反射特性を評価する場合,1次元周期構造の有効誘電率を用いて多層周期構造の反射特性を計算し,FDTD法等を用いて求め結果を比較しその精度や有効性を検討する。有効な範囲内において,多層周期構造を用いた周波数フィルタの設計を行う。また,最適パラメータをもとる場合,最適アルゴリズムを適用し,周期(横方向および縦方向)や誘電率などの最適パラメータの探索を行う予定である。 さらに,引き続き,以下の観点から研究を進める。 1.景媒質が空気でない誘電体などで構成され,その媒質中に2次元周期構造を配置する場合について検討を行い,背景媒質が反射特性(透過特性)に与える影響を調べ,電磁波素子を設計する際の有用なデータを蓄積する。 2.有効誘電率と空気の層を1 セットとした多層膜構を用いた2次元周期構造における反射・透過特性を調査し,有効誘電率を用いたモデル化の適用範囲を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度では経費がやや余ったので,平成25年度分経費と合算してノートPCを購入する予定である。人件費・謝金については,平成25年度に引き続き,データ整理やプログラム開発の補助に充てる。また,旅費については,広島で開催される国際電波科学連合電磁界理論に関する国際シンポジウム(URSI EMTS 2013)や全国大会・研究会への参加に充てる。
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Research Products
(12 results)