2011 Fiscal Year Research-status Report
弾性波散乱解析のための係数行列の導出が不要な積分方程式の新しい高速解法の開発
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23560073
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
東平 光生 東京理科大学, 理工学部, 教授 (50246691)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 弾性波動 / 積分方程式 / 散乱問題 / 高速解法 |
Research Abstract |
半無限弾性波動場における高速領域積分方程式法の展開については概ね成功を見た.研究成果はint.j.solids and struct. vol. 48, pp. 3194-3208に掲載されている.ここでは,半無限弾性波動場のスペクトル理論で展開されたGreen関数およびこの表現で用いられるFourier変換を積分方程式に適用することで手法の展開を行っている.また,ここで展開された半無限弾性波動場のためのFourier変換はすべて単純なFourier sineおよびcosine変換ならびにLaplce変換に分解し,それぞれに高速変換アルゴリズムを適用することで,積分方程式の高速解法を実現している.また,積分方程式にFourier変換を施すことで,積分方程式の求解のプロセスで必要となるKrylov部分空間の構成方法が示されることになり,結果としてFourier変換と逆変換を積分方程式に繰り返し適用することで,積分方程式が解かれることになる.この手法においては,従来より積分方程式の数値解法で必要と考えられてきた係数行列の導出が不要であり,大規模な波動場の数値計算に必要な計算機容量の削減が可能となる.さらに従来の積分方程式の高速解法が係数行列の作成の効率化に主眼を置いてきたことに対して,ここではKrylov部分空間の構成に高速解法を用いるなど,申請者はこの方法が極めて独創的なものであると考えている.なお,当該論文はscience direct Top 25 articlesにランキングされている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,国際的に権威のあるジャーナルに論文が掲載されるとともに,この論文がTOP25のランキングを受けたこと.また,この論文掲載後,展開された積分方程式法で,解の収束特性が劣化するケースの分析を続け,この問題の解決のために,Lippmann-Schwinger方程式に境界項を加え,その方程式をFourier変換する手法も展開している.そして,これについても良好な解を得はじめている.この結果についてはKAISTが発行する論文集に論文を投稿する準備をはじめている.申請者はこの論文集のeditorial boardも,前述の研究成果が認められ勤めるようになっている.editorial boardとして,論文に投稿することを依頼されており,投稿を急いでいる.以上のように,当該研究の達成度は良好と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
この研究の最終的なターゲットは,展開された積分方程式法を用いて,大規模な地殻構造を伝播する波動の散乱解析を行うことである.前述の弾性波動場に対するLippmann--Schwinger方程式に境界項を加える試みは,全無限の弾性波動場に対して成功を納めはじめたに過ぎない.半無限弾性波動場の境界条件のもとで,この方法を展開し,手法を実用化するための困難を乗り越えることが重要な課題になっている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度とほぼ同様になると考える.論文の別刷にはカラーが必要であり,同様な経費が見込まれる.また謝金として,やや長い論文の英文校閲をお願いすることになり,150,000円程度が必要である.また,この年度では,研究室の高速並列計算機のリニューアルを予定している.高速計算機のリニューアルに伴い,周辺機器の整備が必要と考えている.
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Research Products
(2 results)