2013 Fiscal Year Annual Research Report
弾性波散乱解析のための係数行列の導出が不要な積分方程式の新しい高速解法の開発
Project/Area Number |
23560073
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
東平 光生 東京理科大学, 理工学部, 教授 (50246691)
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Keywords | 積分方程式 / 高速解法 / 係数行列free / 散乱解析 / インバージョン |
Research Abstract |
無限あるいは半無限領域中での媒質の変動領域で生じる散乱波動の解析のために,積分方程式は有力なツールである.また,地震学や地震工学の分野でも,媒質の変動領域での散乱解析は重要な課題である.しかし,一方で媒質の変動領域の解析に用いるべき積分方程式は領域型のものとなり,量子論など他分野での多くの理論的な研究にも関わらず.実際の数値計算には,大規模な係数行列を生成することから,実際のアプリケーションの実例は,あまり蓄積されてこなかった.こうした背景の中で,本研究は係数行列を導出することなく,方程式の解を求めるプロセスで高速アルゴリズムを用いる,新たな積分方程式の解法を行ってきた. 当該年度は媒質の変動領域に波動を照射し,地表で観測された散乱波動場から媒質のゆらぎの性状を再構成する方法論を,係数行列を導出することなく積分方程式を解く手法をベースに展開し,その数値的な精度を実際の数値計算によって実証した.検証結果によれば,媒質の揺らぎに照射する人工震源のポイント数を増やすこと,入射波動場(Green関数)の計算に適切な正則化パラメータを用いることで,媒質の変動成分の中で,せん断弾性係数の変動は精度良く再構成できることを見出した.一方,体積変形に関連する弾性係数の精度良い再構成は,今後に残された課題となった.なおせん断変形に関連する弾性係数の再構成精度が比較的良好であった理由は,体積変形にくらんべせん断変形が弾性体中で起こりやすく,観測された散乱波動もせん断変形の情報を多く含んでいることによると考えられる.これらの結果は国際ジャーナル(EABE)のオンライン版で公開されている.
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Research Products
(4 results)