2013 Fiscal Year Annual Research Report
海洋性プランクトンの進化過程を解明するための数値流体力学手法の開発
Project/Area Number |
23560074
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
吉野 隆 東洋大学, 理工学部, 准教授 (60269496)
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Keywords | 数理プランクトン学 / 放散虫 / 骨格構造 / 幾何学モデル / 流れ場解析 |
Research Abstract |
海洋プランクトンの一種である放散虫について,1)形状情報の取得,2)幾何学モデルの構築,3)骨格構造をもとにした形状周りの流れ解析という手続きの確立に成功した.形状情報の取得については,球形もしくは球形に近似できる形状をもつ放散虫骨格の3次元データから自動的に殻孔の数とそれぞれの殻孔の中心の分布を得るアルゴリズムの構築に成功した.幾何学モデルの構築については,得られた殻孔中心の分布情報から,その骨格構造を近似するモデルを構築することに成功した.さらにその構造の起源をチューリング・パターンに求め,チューリング・パターンと球形の放散虫がもつ骨格構造との関係の端緒を掴んだ.この部分はさらに深く掘り下げて,海洋プランクトンの骨格構造が発生するメカニズムの研究に発展させたいと考えている.骨格構造をもとにした形状周りの流れ解析は, Mirifusus と呼ばれる放散虫の周辺での流れ場を解析することに成功した.形状によって異なる流れ場が発生することまでは掴めたものの,進化がどのような最適化原理によるものではったのかは不明なままである. 上記の成果を最終年度に国際学会・国内学会で発表した.成果の一部はすでに論文として投稿されており,1編は受理されている. 上記1)から3)の流れは,「数理プランクトン学」(プランクトンの骨格構造を数理科学的に理解する総合科学)を実践する具体例に位置づけられる.今後は,骨格構造の進化がどのような最適化の原理で行われているのかを数理科学的に掘り下げる作業が期待される.
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