2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560083
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石原 外美 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (60019221)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 機械・材料 / 疲労 / 信頼性 / 極値統計学 |
Research Abstract |
当該年度においては,マグネシウム合金の種々の応力比における疲労寿命分布と高速度工具鋼の疲労寿命分布特性の評価を行った.以下に,それぞれ具体的に述べる. 応力比によらない疲労寿命分布特性の評価法確立のため,軽量で高比強度などの特徴を有するマグネシウム合金AZ61押出し材を用いて,複数の応力振幅のもとで引張圧縮疲労試験を行った.実験を行った応力比Rは,-1,0.1,0.5の3種類である.実験から得られた疲労寿命曲線(S-N線図)から,各応力振幅において疲労寿命にばらつきが確認され,疲労過程の連続観察と破断面の詳細な観察から,材料に含まれている介在物が破壊の起点となっていることが明らかになった.応力比R=-1については,極値欠陥分布とき裂の伝播特性から,シミュレーションによって疲労寿命を算出し実験結果を予測できることが確認された.従って,マグネシウム合金における疲労寿命分布を簡便に定量的に評価できることができる. また,切削用工具や塑性加工用工具などに用いられている高速度工具鋼の疲労寿命分布特性についても調査を行った.高速度工具鋼は,化学成分,機械的特性の異なる2種類の試験片で試験を行った.疲労試験では,マグネシウム合金と同様に複数の応力振幅のもとで実験を行い,各応力振幅において疲労寿命にばらつきが見られた.試験片に存在している欠陥の観察から,材料中に多数の炭化物が存在しており,疲労き裂の発生起点となっていることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マグネシウム合金については,計画通り,種々の応力比のもとで疲労試験を行い,疲労寿命分布を明らかにした.ついで,き裂伝播則,き裂の発生源となる欠陥の分布特性,さらにモンテカルロシミュレーションを用いることによって,マグネシウム合金の疲労寿命分布を評価した.計算された疲労寿命分布は実験結果と良く一致した. また,上記疲労寿命分布の評価法が,材料に依存しない評価法であるかを確認するために,マグネシウム合金よりも,より硬い高速度工具鋼の疲労寿命分布について研究を進めている.現在,高速度工具鋼による実験を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
筆者が提案する本疲労寿命分布評価法が材料に依存しない評価法であることを検証する.これまでの研究は,回転曲げ疲労実験,並びに引張り・圧縮疲労実験であるため,次のステップでは,平面曲げ疲労実験においても,本疲労寿命評価法が有効に使用することができることを実証する必要がある.これにより,回転曲げ疲労実験,引張り・圧縮疲労実験,平面曲げ疲労実験を通して,同一の疲労寿命評価法として用いることができることを実証できる. また,試験片の形状,並びに試験片寸法が変化しても適用可能な疲労寿命評価法へと拡張する.これにより,より広範な実験条件においても使用できる疲労寿命分布評価法を確立する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本疲労寿命分布評価法が材料に依存しない評価法であることを検証するために,アルミニウムダイキャスト材,並びに炭化物欠陥を含む高速度工具鋼を試験片素材として回転曲げ疲労実験を行う.材料のS-N線図,いくつかの応力振幅における,疲労寿命分布を調査する.そして,疲労過程の観察を行い,疲労き裂の発生箇所,発生時期,き裂の伝播特性を調査する.き裂の発生源の欠陥の分布特性も併せて調査する.試験片に存在する欠陥の分布特性とき裂の伝播特性を考慮して,疲労寿命分布を評価する.評価結果と,実験結果が一致するか否かを検討し,提案する方法が,マグネシウム合金以外の他の合金についても適用できることを確認する.
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