2012 Fiscal Year Research-status Report
精密鋳造によるチタンーニッケルージルコニウム高温形状記憶合金アクチュエータの開発
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23560085
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
北村 一浩 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (40332035)
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Keywords | 形状記憶合金 / アクチュエータ / 精密鋳造 / 燃焼合成 |
Research Abstract |
吉見製作所 所有の燃焼合成装置では、作製条件を変えてもインゴットの作製ができなかった。この理由は、真空ポンプなどの装置の劣化も考えられる。現在装置のチェックを行っている。 燃焼合成でのインゴット作製に手間取っているため、「ウルトラプラズマシンタリング法」で粉末から作製されたTi-Ni-Zr合金インゴットを入手し、鋳造可能かどうかの試験を行った。従来のTi-Ni2元系の鋳造条件で鋳造を行った結果、角材形状の引張試験用試験片の作製し成功した。 作製した試験片に、400℃1時間、500℃1時間、600℃1時間の形状記憶熱処理を施した。熱処理後、一部の試験編には、圧延率10%で冷間圧延を行った。それぞれの試験片に対し、X線回折測定、示差走査熱量測定、引張試験を行い、鋳造材の形状記憶特性を明らかにした。その結果、以下の測定結果が得られた。 鋳造法により作製した試料は,形状記憶特性を示すことが明らかとなった。示差走査熱量測定の結果、変態温度が最も高い熱処理条件は500℃1時間であるということが明らかとなった。X線回折測定の結果から、いずれの試料でも測定温度の上昇に伴って、マルテンサイト相のピークが減少し母相のピーク強度が増加した。引張試験の結果から、リューダースライクな変形領域において、一般的な形状記憶合金と異なり応力レベルが変化した。この結果は、内部組織が均一化していないことを示している。しかし圧延を施すことにより応力レベルの変化が減少し、一般的な形状記憶合金の特性に近い変形挙動が現れた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
吉見製作所 所有の燃焼合成装置でTi-Ni-Zrの合金インゴットを作製するため、昨年度から条件を変えながら実験を行っているが、真空系のリークがあり、合金インゴットが作製できていない。そのため、代替措置として、「ウルトラプラズマシンタリング法」で粉末から作製されたTi-Ni-Zr合金インゴットを入手し、研究を行っている。 合金インゴットが少量しか入手できないため鋳造回数が限られ、試験用試料の作製が遅れているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、燃焼合成法でTi-Ni-Zr合金インゴットを作製するために、装置の調整を行う。 Ti-Ni-Zr合金の鋳造条件は確立しており、できるだけ多数の試験片を作製し、今まで行えていない透過型電子顕微鏡用試料に用いる薄板と、応用形状の力学試験を行うバネ形状の試験片を作製する。 透過型電子顕微鏡測定とバネ形状の試験片の引張試験を行い、内部組織と形状記憶特性の関係と、応用可能性評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は、24年度は試験用試料の作製の遅れにより、予定していた実験の一部を25年度に行うことにより生じた。次年度は、最終年度であるため、以下の計画で研究費を使用する。 燃焼合成装置の調整に必要な、真空ポンプ、Oーリングなどの消耗品、合金インゴットの作製のための費用(合金粉末、合金保存用容器)鋳造を行うための埋没材、ロウ型、ゴム型の費用、透過型電子顕微鏡用試料の作製費用(電解研磨用薬品、冷却装置、試料保存容器)、透過型電子顕微鏡消耗品(液体窒素、試料保存容器、工具) 研究成果公表のための旅費、論文の投稿費用として使用する。
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