2013 Fiscal Year Annual Research Report
精密鋳造によるチタンーニッケルージルコニウム高温形状記憶合金アクチュエータの開発
Project/Area Number |
23560085
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
北村 一浩 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (40332035)
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Keywords | 形状記憶合金 / アクチュエータ / 精密鋳造 |
Research Abstract |
25年度は、更にアクチュエータの動作温度を上昇させるために、24年度に作製したTi-Ni-Zr鋳造材に対し、熱処理後10%の冷間圧延を行うことで予ひずみを与え、アクチュエータ動作温度に及ぼす予ひずみ効果の評価を行った。この結果、いずれの熱処理温度の試料でも、逆変態終了温度が最初の1回のみ、上昇した。最も変態温度の上昇が大きい600℃-1時間熱処理材では、逆変態終了温度が100℃程度上昇した。この性質を利用すれば、1回のみであるが、Ti-Ni2元系の材料と比較して、動作を始める温度が100℃程度高い形状記憶合金アクチュエータの作製が可能となることが明らかになった。 期間全体では、以下の成果が得られた。研究代表者の研究グループでは、以前から粉末から作製した合金インゴットを出発材料として、遠心鋳造機を用いてTi-Ni 2元系合金の試料を作製している。同様の装置、型、及び埋没材を使用する事により、Ti-Ni-Zr 3元系の高温形状記憶合金鋳造材の作製に初めて成功した。 この材料は、全ての熱処理条件の試料で、完全な形状記憶効果を示した。いずれの熱処理材でも、冷却時には1段階でオーステナイト相からマルテンサイト相に変態し、加熱時には、マルテンサイト相からオーステナイト相に3段階で逆変態している。この結果から、本研究で得られた鋳造材は、単一相ではなく、3相に相分離していることが明らかになった。 10%の冷間圧延により内部組織が安定化し、Ti-Ni-Zr鋳造材の機械的特性が向上した。また、マルテンサイト再配列応力は、As-cast材を除き、熱処理温度の上昇にともなって、上昇した。さらに予ひずみの効果により、逆変態終了温度が100℃程度上昇した。
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Research Products
(3 results)