2011 Fiscal Year Research-status Report
生体内環境を再現した関節軟骨力学・電気化学連成挙動の動態解析手法の確立
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23560087
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
陳 献 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70313012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬渡 太郎 九州大学, 大学病院, 共同研究員 (60335974)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 関節 / 有限要素法 / 接触 / 力学電気化学連成 |
Research Abstract |
本年度の研究ではまず膝関節の有限要素モデル化を行った.膝関節のMRI画像を医用画像処理ソフトVolume Extractor及びZed Viewにより表面の平滑化処理を行い,大腿骨,脛骨,関節軟骨及び半月板の形状を抽出し,STLフォーマットに基づく3次元形状データを作成した.さらに,有限要素法メッシュ作成ソフトICEM CFD及びPATRANを用いて膝関節の有限要素解析モデルを構築した.上記で構築した膝関節モデルでは,大腿骨・半月板,脛骨・半月板,大腿骨・脛骨間で複雑な接触現象を生じるため,非線形有限要素接触解析における許容貫通量や接触力等のパラメータの調整及び接触表面の平滑化処理を行い,接触解析の安定性を改善し,正常歩行時の荷重における半月板形態が膝関節軟骨応力及び歪み分布に及ぼす影響を明らかにした.しかし,MRI画像では不鮮明な軟骨境界の判別に起因する誤差が軟骨内の応力及び歪み分布に大きく影響を及ぼすため,今後の研究でモデル構築の改良が必要となる.関節の運動には多くの筋肉がかかわっており,全ての筋肉について有限要素モデルを構築し解析を行うのは非効率的であるため,本研究では筋骨格系剛体リンクシミュレーションシステムを導入し,日常動作における筋力の推定を行った.これにより,関節内の力学状態に影響を及ぼす主要な筋肉についてのみ有限要素モデルを構築し,それ以外の筋肉については推定した筋力を代用することにより,効率的関節シミュレーションが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するためには,解剖学的構造を反映した関節生体力学モデルの構築と高度な接触解析が必要である.23年度の研究では関節の解析モデルを構築し,非線形有限要素法接触解析手法の改良を行ったため,予定の目標をほぼ達成している.
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Strategy for Future Research Activity |
24年度では前年度に開発した関節解析モデルを用いて,各種日常動作における関節の生体力学シミュレーションを行い,解析結果に対する臨床的検証と評価により,開発したモデルの改良を行う.さらに,異方性,不均一性及び粘弾性を考慮した軟骨の力学モデルを開発する.これを基に,25年度では各日常動作における関節軟骨の力学・電気化学シミュレーションを行い,生体内環境を再現した関節軟骨力学・電化学連成挙動の解明を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度では研究発表の時期に間に合わなかったため,予定の研究発表用の学会登録費及び旅費に余剰を生じた.24年度では積極的に成果を発表することを予定しており,また,関節モデルの改良及び解析手法の開発に必要な研究支援の謝金支出も予定している.計算機消耗品のほか,論文別すり及び英文論文添削料の支出も予定している.また,24年度行う予定の各種日常動作の関節生体力学シミュレーションを補助するための人件費を支出する予定である.
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Research Products
(1 results)