2012 Fiscal Year Research-status Report
生体内環境を再現した関節軟骨力学・電気化学連成挙動の動態解析手法の確立
Project/Area Number |
23560087
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
陳 献 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70313012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬渡 太郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60335974)
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Keywords | 軟骨 / 力学電気化学連成 / 生体力学 |
Research Abstract |
軟骨は異方性材料として、コラーゲン線維は軟骨深層部では軟骨下骨面に垂直、表層部では表面に平行、中間部ではランダムな方向の配向性を有するため、本年度の研究では、軟骨深層部及び表層部に横異方性超弾性体モデル化を導入し、滑り接触解析を行うことにより、軟骨の異方性は軟骨内の応力、歪み、間質液及びイオン流れの分布に影響を及ぼすことを確認し、軟骨変性を想定した物性変化による影響を検討した。 日常動作では関節部の筋肉群など各生体組織の協調的活動によって関節に負荷を与えている。従って、生体内環境を再現するため、関節部の筋肉を含めた解析モデルの構築が必要であるが、詳細なモデル化では解析規模が膨大となる。そこで本年度の研究では医用画像を基に、筋骨格系剛体リンクシミュレーションシステムを用いて、基本動作における筋肉の発生力を推定したうえ、医用画像を基に構築した有限要素モデルに境界条件として導入し、基本動作におけるシミュレーションを行い、手法の有効性を確認した。 また、実際のヒトの日常動作における軟骨内の力学・電気化学的連成解析を行うため、モーションキャプチャーによる各動作の動作データ及び床反力データを取得し、これらを筋骨格系剛体リンクシミュレーションシステムに入力して、筋力の推定を行っている。さらに、各動作に対応する解析モデルを作成しながら、推定筋力を導入した有限要素解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では予定通り軟骨の異方性を導入した。また、モーションキャプチャーによる動作と反力データの取得、及び筋骨格系剛体リンクシミュレーションシステムと有限要素解析の連動により各動作における関節のシミュレーションを可能にした。これにより、25年度の研究予定として、生体内環境を再現した関節軟骨力学・電化学連成挙動の解明の準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度では、これまでの研究成果を基に、日常動作を設定した軟骨内の力学・電気化学連成動態解析を行い、開発した手法の問題点の抽出と改良を行うと共に、日常動作における動的負荷を受ける軟骨内力学・電気化学連成挙動の空間分布と時間変化を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度では論文の発表及び一部の学会発表の準備が間に合わなかったため、予定の論文発表費用、学会登録費及び旅費の余剰が発生した。 25年度では学会での成果発表を予定しており、また関節モデルの改良並びに解析手法の開発及び解析補助に必要な研究支援の謝金支出;計算機消耗品のほか、論文別刷及び英文論文添削料の支出も予定している。
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