2013 Fiscal Year Annual Research Report
き裂進展がおよぼす工具鋼のマイクロテスラ領域の磁場変化
Project/Area Number |
23560089
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
木田 勝之 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (00271031)
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Keywords | 疲労 / 非破壊検査 / 塑性変形 / 破壊 / き裂 / 磁場 / プローブ顕微鏡 |
Research Abstract |
平成25年度は、課題「1-3.磁化特性とき裂観察」と「2-3. き裂の定量評価」を行った。試験片は小サイズなため、磁場顕微鏡ステージに載せたままの状態で、任意の荷重負荷条件で応力集中部のその場観察が可能である。本年度は特に、HV800以上の高硬さ、つまりマルテンサイト組織を有する工具鋼において、応力負荷履歴が磁場変化に与える影響について研究成果を得た。 まず、課題1-3では、スリットに沿った磁化方法を用いることにより、試験片中央部のみを一様に磁化させることに成功した。1.0mm×1.0mm断面積のネオジウム磁石により、およそ幅2mmの領域を試験片の中央部で磁化し、この磁場部を含む幅6.0mm×12.0mmの領域を測定した。この測定時間は約50分である。この領域には、磁化されていない部分が含まれており、応力集中が磁場に及ぼす影響を比較観察することができる。つまり、スリット先端での応力集中部とそこから十分に離れた位置における磁場の値を比較して、応力集中の局所的な影響の測定を行った。これにより、磁場は応力負荷により、線形に減少することが明らかとなった。 課題3「疲労評価法の一般化」では、本課題の目標である、外部電場の印加のない条件で、残留磁場のみを用いて応力とその変化領域を三次元情報で可視化すること、についてまとめた。具体的には、400MPa~1200MPaの応力負荷により、高硬さHv800から低硬さHv180の材料それぞれにおいて、応力集中部のみの磁場変化を分離して可視化することができた。一様領域での一様な荷重条件のみを対象としてきた従来のヴィラリ効果を用いた手法と比較し、本課題で得られた結果は、マクロにたくさんの結晶構造(マルテンサイト)を持つ高硬度な工具鋼において、き裂評価に十分な精度で、本磁場顕微鏡が、小さな応力集中部の磁場変化を抽出できることを示したものである。
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