2012 Fiscal Year Research-status Report
MEMS構造材料への展開を目指したバルク金属ガラス薄膜の材料探索
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23560095
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
井上 尚三 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50193587)
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Keywords | Zr基金属ガラス / 薄膜 / スパッタリング / コンビナトリアル |
Research Abstract |
バルク金属ガラスは高強度、低ヤング率、大弾性変形限界などのユニークな特徴を有しているだけでなく、ガラス転移点以上の温度域での超塑性挙動を利用して3次元構造体を作れる可能性があることからMEMS分野での応用も期待できる。しかし、これまでのバルク金属ガラスの研究では、ナノマイクロ材料を作るという試みはあまりなされてこなかったのが現状である。本研究では、MEMS分野で利用できるZr-Al-TM(TM: 遷移金属)バルク金属ガラス薄膜材料を開発することを目的とし、コンビナトリアルスパッタリング法を用いた組成探索を実施するとともに、将来この材料を実用化するために必要となる単一の合金ターゲットを用いた薄膜作製技術の開発も行っていく。 本年度までに、Zr-Ni-Al合金薄膜についてコンビナトリアルスパッタリング法によって結晶化温度が最も高い組成の探索を行い、Alが15~35%程度が最適であることを見出した。また、コンビナトリアル法で作製した薄膜ライブラリのナノインデンテーション試験を実施し、非晶質状態が安定な組成域と高い硬度を示す組成域が概ね一致するという結果を得ることができた。 また、バルク材料で広いガラス転移温度領域を持つことが知られているZr-17.5Cu-7.5Ni-10Al合金の円板を単一のターゲットとした薄膜形成も並行して実施しており、投入電力やスパッタ圧力などの成膜条件の変化に伴って成長した薄膜の組成や内部応力が変化することを明らかにした。さらに、この方法によって作製した試料については、熱機械分析法などによりガラス転移挙動を示すことを確認しており、今後、実際にマイクロ構造体を成形していくことを試みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンビナトリアル法によって作製したZr-Ni-Al合金薄膜の結晶化温度の評価は順調に実施でき、Alが15~35%程度が最適であることを確認した。また、ナノインデンテーション法により、広い組成域の試料に対してその硬度とヤング率を求めることができ、結晶化温度の高い組成域と高い硬度を示す組成域が概ね一致することを見出せた。残念ながら、この組成域の試料についてガラス転移挙動を示すか否かの確認はまだ行えていないが、今後、実験を継続していく予定である。 これに対し、単体の合金ターゲットから作製した薄膜では、一定引張り荷重下での加熱によりガラス転移挙動に伴う非常に大きな伸びを確認することができた。また、非常に簡易的な装置により、10μmサイズの金型を転写できる可能性まで示すことができている。 全体の進度については、平成23年度からの課題であったナノインデンテーション試験方法の確立に24年度も予想外の時間を要したため、コンビナトリアル法による研究の進度は少々遅れ気味である一方、単体の合金ターゲットを用いた実験は比較的順調に進んでいるので、総合的に見ると(2)に値すると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確認できていないZr-Ni-Al薄膜のガラス転移挙動について、金型によるマイクロ成形などの方法により評価していきたい。一方、Zr-17.5Cu-7.5Ni-10Al合金の単一ターゲットを用いて作製した薄膜については、引張り試験によって種々の温度での機械的性質を評価するとともに、ガラス転移挙動による成形前後の機械的性質の変化のような基礎的な物性を明らかにしていくとともに、金型によるマイクロ成形能についても評価していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)