2013 Fiscal Year Annual Research Report
MEMS構造材料への展開を目指したバルク金属ガラス薄膜の材料探索
Project/Area Number |
23560095
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
井上 尚三 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50193587)
|
Keywords | Zr基金属ガラス / 薄膜 / スパッタリング / コンビナトリアル |
Research Abstract |
バルク金属ガラスは高強度、低ヤング率、大弾性変形限界などのユニークな特徴を有しており、ガラス転移点以上の温度域での超塑性挙動を利用して3次元構造体を作れる可能性があることからMEMS分野での応用も期待できる。しかし、従来のバルク金属ガラスの研究では、ナノマイクロ材料を作るという試みはあまりなされてこなかった。本研究では、MEMS分野で利用できるZr-Al-TM(TM: 遷移金属)バルク金属ガラス薄膜材料を開発することを目的とし、コンビナトリアルスパッタ法を用いた組成探索を実施するとともに、将来この材料を実用化するために必要となる単一の合金ターゲットを用いた薄膜作製技術の開発も行った。 まず、Zr-Ni-Al合金薄膜についてコンビナトリアルスパッタリング法によって結晶化温度が最も高い組成の探索を行い、Alが15~35%程度が最適であることを見出した。また、この薄膜ライブラリのナノインデンテーション試験を実施し、非晶質状態が安定な組成域と高い硬度を示す組成域が概ね一致するという結果を得ることができた。 また、バルク材料で広いガラス転移温度領域を持つことが知られているZr-17.5Cu-7.5Ni-10Al合金をターゲットとした薄膜形成も並行して実施し、投入電力やスパッタ圧などの成膜条件の変化に伴って成長した薄膜の組成や内部応力が変化することを明らかにした。この方法によって作製した薄膜試料は熱機械分析法により母合金と同程度の温度でガラス転移挙動を示すことを確認した。金属ガラス薄膜をSi製の金型に押しつけてガラス転移温度まで加熱したところ、その形状を転写することができた。また、リソグラフィによって形成した金属ガラス製マイクロらせん構造体を3次元的に変形することにも成功し、ガラス転移状態での加工が複雑な構造体の作製に有用であることを確認した。
|
Research Products
(1 results)