2011 Fiscal Year Research-status Report
三次元表面き裂の疲労破壊・応力腐食割れシミュレーションシステムの構築
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23560097
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
菊池 正紀 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90107540)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 重合メッシュ法 / 疲労き裂 / き裂進展クライテリオン / 応力腐食割れ / 溶接残留応力 |
Research Abstract |
(1)溶接残留応力場での応力腐食割れ現象をシミュレーションするために重合メッシュ法の高度化を実現した。日本原子力研究機構から提供された溶接残留応力場を用いて配管内表面からの応力腐食解析を行った。き裂は応力の高い内表面に沿って扁平に進展することが観察された。また溶接の会始点と終点での残留応力分布の違いがき裂進展に及ぼす影響について考察した。さらに240のき裂が同時に進行する現象のシミュレーションを行った。(2)モードIIIを含む混合モード状態での疲労き裂進展試験を行い、重合メッシュ法による解析結果と比較した。ファクトリールーフの生成とそれによるき裂進展速度の低下を観察した。それらをシミュレーションで再現できる疲労き裂進展クライテリオンの提案を行った。これを用いることでき裂進展形状とき裂寿命を、より実験値に近く、かつ保守的に評価できることを示した。また貫通き裂の混合疲労進展問題にもこのクライテリオンを適用し、その有効性を検証した。(3)き裂開閉口挙動の疲労き裂進展に及ぼす影響を評価した。表面き裂の進展評価には、パリス側の定数がき裂縁状の位置によって変化するとの仮定が従来用いられていた。これがき裂開閉口の影響であることを解明し、き裂縁状の位置によらず、材料定数が一定になることを示した。これを用いて表面き裂の進展評価を行い、実験とより近い疲労寿命の推定を行うことが可能であることを示した。(4)これらの研究成果を国内・外の学会で発表した。また学術誌に論文を投稿した。掲載論文は5編、学会発表11件、著書1冊である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、応力腐食割れの数値解析と混合モード下でのクライテリオンの提案が行われた。また学会での成果の発表は予想よりも順調に進んでいる。すでにここで開発されたソフトを使用したいとの希望もいくつかの大学・企業から届いており、現在調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに多くの実験を行い、今までに提案されたクライテリオンや解析手法の妥当性の検討を行う。また国内・外での学会やセミナに参加し、研究成果の報告と開発したソフトの普及に努める。本年度の研究費の多くはこれらに使用される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的には今年度と同様である。しかし次年度は最終年度であるため、本研究で開発したソフトの普及活動のために研究費の多くを使用したい。
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Research Products
(16 results)