2012 Fiscal Year Research-status Report
三次元表面き裂の疲労破壊・応力腐食割れシミュレーションシステムの構築
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23560097
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
菊池 正紀 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90107540)
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Keywords | 重合メッシュ法 / 疲労き裂 / 貫通き裂 / 複合材料 / 内部き裂 |
Research Abstract |
①重合メッシュ法の拡張を行った。ローカルメッシュがグローバルメッシュの外に出た場合、ローカルメッシュに内包されるき裂の応力拡大係数への影響について調べた。その結果、外に出たローカルメッシュのヤング率を小さく仮定することで、精度良く応力拡大係数が評価できることを明らかにした。これにより、表面き裂が進展し、貫通するまでのプロセスを一連の挙動としてシミュレーショ ンできるようになった。この手法を用いて曲げ試験片と引張試験片における表面き裂の進展―貫通解析を行った。引張疲労試験片では貫通き裂 は長方形に近づくのに対して、曲げ試験片では台形を保ったまま進展することが確かめられた。②重合メッシュ法を複合材料問題へ拡張した。 ローカルメッシュはき裂進展中に変形するので、複合材料の持つ層境界を表現することが困難である。しかしグローバルメッシュで層境界を表現し、ローカルメッシュのガウスポイントで対応するグローバルメッシュの材料定数を用いることとすることでこの問題を解決した。また同様の手法を異方性材料にも適用し、この問題でも重合メッシュ法が使用可能とした。これらを用いてき裂進展解析を行い、層境界がき裂進展に及ぼす影響について考察した。③内部き裂の進展を重合メッシュ法で数値シミュレーションした。内部血管からの疲労き裂進展をモデル化し、多 くの内部き裂は作用応力方向に垂直な面内で円形状に進展することを確認した。また表面のごく近傍での内部き裂の進展を解析し、原子力設備の維持基準と比較・検討した。④これらの研究活動に対して日本機械学会から論文賞を授与された。⑤研究成果を学会で発表した。掲載論文は3編、学会発表15件である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重合メッシュ法を、従来扱えなかった問題に拡張することに成功し、適用範囲が大幅に拡大した。また学会での成果の発表は順調に進んでいる。すでにここで開発されたソフトを使用したいとの希望もいくつかの大学・企業から届いており、現在調整中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年新たに解析対象とした問題の実験との比較・検討を行い、本手法の精度を検証する。また国内・外での学会や セミナに参加し、研究成果の報告と開発したソフトの普及に努める。本年度の研究費の多くはこれらに使用される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的には今年度と同様である。しかし次年度は最終年度であるため、本研究で開発したソフトの普及活動のために研究費の多くを使用したい。
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Research Products
(18 results)