2011 Fiscal Year Research-status Report
損傷を受けたCFRP積層実構造の残存強度解明に関する研究
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23560099
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
邉 吾一 日本大学, 生産工学部, 教授 (90060079)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | CFRP / 振動特性 / 損傷同定 / 残存強度 / 実物構造 |
Research Abstract |
本研究では、実物大のCFRP積層構造が衝撃負荷を受けてその構造内部に損傷が生じた場合に、構造の振動特性(減衰量や固有振動数)の変化から構造内部の損傷を同定し、その損傷と構造の残存強度の関係を明らかにすることで、実物大CFRP積層構造の継続使用の可否を判定する技術を確立することを目的としているが、本研究の初年度は次の成果を得ることができた。1.CFRP積層板に衝撃負荷により損傷を与えて、損傷の有無、大きさ、その位置の違いと積層材の固有振動数と減衰量の変化をインパルス加振実験により明らかにし、さらに曲げ実験も行い、損傷と振動特性の関係、損傷と残存強度の関係を明らかにした。2.CFRPの実部大構造として、圧縮天然ガス(CNG)や高圧水素貯蔵容器として用いられているCFRP圧力容器の取り上げ、容器の平行部内面にCFRP製のアイソグリット円筒を容器と一体で成形して補強する技術を確立し、その強度が容器及び補強アイシグリッド円筒単独の場合の和よりも31%大きくなることを明らかにし、補強効果が示された。さらに圧力容器の外面にアイソグリッド円筒で補強することで、実用化につながる成形技術の簡便性を示し、容器本体とグリット円筒のクリアランスをある値以下に抑えることで、一体成形と変わらない性能を示した。3.表面材はCFRP、心材はウレタンからなるCFRPサンドイッチ構造で現在稼働中の風力発電用ブレード3体を企業から譲り受け、このCFRPサンドイッチブレードの振動特性をインパルス加振実験で明らかにできることを示し、この加振実験と有限要素法の結果が境界条件を変えてもよく一致することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度にCFRP積層材における損傷量と固有振動数の関係、損傷量と減衰量の関係、損傷量と曲げ強度の関係は実験的に求め、これらの物理量の因果関係を実験的に明らかにしたが、解析的にこれらの関係を明らかにする点が残されている。一方で実物大構造として、平成23年度実施予定のアイソグリッド補強有するCFRP製圧力容器の成形は開発は終了し、より軽量で高強度の新しい構造形態のCFRP圧力容器の製造法を示した。今後は実験と解析を残すのみである。さらに、平成25年度実施予定の風力発電用CFRP製3次元形状のブレードは企業から寄贈を受け、すでに固有振動数解析を実施している点を考慮すると、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、実物大構造として平成24年度に車載用CFRP製圧力容器、平成25年度に風力発電用CFRP製ブレードの損傷同定と残存強度を明らかにする予定であったが、平成23年度に振動特性を既に明らかにしたCFRP製ブレードを平成24年度に行い、CFRP製圧力容器を25年度に行う。平成24年度はCFRP製ブレードの損傷同定だけでなく、最適設計についても理論解析を行い、平成25年度の圧力容器につなげる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度と24年度の研究成果を国外及び国内の学会で公表するための費用と解析及び実験結果を整理し、最終報告書を纏めて作成するために、学生アルバイトの謝金を使用する。さらに追加実験が生じた場合の消耗品を使用する。
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Research Products
(6 results)