2012 Fiscal Year Research-status Report
脳神経細胞の力学損傷の定量解析による頭部傷害メカニズムの解明
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23560100
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
西本 哲也 日本大学, 工学部, 教授 (30424740)
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Keywords | 生体力学 / バイオメカニクス / 安全安心 / 自動車の安全 |
Research Abstract |
本研究では生きた動物を用いたin vitro力学実験と厳密なin vivo衝撃実験の比較解析により,脳神経細胞と神経線維の損傷形態をミクロレベルで解析し,頭部傷害の詳細なメカニズムと傷害発生レベルを明らかにすることを目的としている. 3年計画の1年目は,実験動物(豚)を用いて,回転の頭部衝撃に対する傷害を発生させるin vivo動物実験モデルの構築のため,動物実験装置の開発を実施した.組織観察においては,脳が損傷した際に細胞体から出現するにアミロイドβ 前駆体蛋白(β-APP)に注目し,免疫組織科学染色を用いることにより,衝撃でβ-APP を検出する方法を検討を実施した. 3年計画の2年目にあたる動物による予備実験ではブタ頭部に矢状回転方向の回転を加えた.しかし,最大角速度が13.3rad/sと非常に低い速度しか出力されず,ブタ脳に損傷が発生しなかった.そこで,この結果を踏まえたうえで,本年度は角速度を向上させるために試験機の改良を行い,角速度31.5rad/sと試験機改良前の角速度の比較約2倍以上の角速度を出力することに成功した.次に,頭部回転のin vivo実験を実施し,実験後に動物は筋弛緩剤を投与することで安楽死させた.脳損傷解析は,安楽死させたブタ頭部を開頭して脳を摘出することにより,まずは肉眼により損傷を確認し,角速度と脳損傷の関係より矢状方向頭部回転における脳損傷発生のメカニズムを検討した. なお,本研究の実施にあたっては,日本大学動物実験委員会の倫理承認手続きを実施し,「頭部および胸腹部の傷害メカニズムに関する研究」と題した動物実験倫理委員会の審査を受け,平成23年11月15日に承認番号:AP11E003号として実施承認を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
頭部への回転衝撃を再現するための実験装置の改良を実施しており,傷害を再現する動物実験モデルが構築できている.染色解析については試行中であるが詳細な解析を検討しているところである.以上より,当初の予定をおおむね順調に進展できていると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
脳が損傷した際に細胞体から出現するにアミロイドβ 前駆体蛋白(β-APP)に着目し,生きたin vivo状態での実験に免疫組織科学染色解析を適用することにより,頭部衝撃とβ-APPの定量解析を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
in vivo実験のための動物や染色解析のための薬品類を購入する.また,衝撃計測用ソフトウエアの保守契約更新を実施する.また,協力関係のあるアデレード大学での研究ディスカッションのための海外渡航を計画し交通費にも充当する.
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Research Products
(8 results)