2013 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経細胞の力学損傷の定量解析による頭部傷害メカニズムの解明
Project/Area Number |
23560100
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
西本 哲也 日本大学, 工学部, 教授 (30424740)
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Keywords | 生体力学 / バイオメカニクス / 脳損傷 / 自動車安全 |
Research Abstract |
本研究では厳密なin vitro実験とin vivo動物実験の比較により,脳神経細胞と神経線維の損傷形態をミクロレベルで解析し,頭部傷害の詳細なメカニズムと傷害発生レベルを明らかにすることを目的としている. 3年計画の1年目は実験動物を用いて回転衝撃に対する傷害を発生させるin vivo動物実験のための装置開発を実施した. 研究計画の2年目は矢状方向から頭部回転を加えた動物実験を実施した.角速度を31.5rad/sを加えると傷害が発生する可能性があった.なお,本動物実験の実施にあたっては日本大学動物実験委員会の倫理承認を得て実施した. 研究計画の最終年度にあたる本年度は,脳組織のミクロレベルの損傷解析として,ひずみ量をパラメータとしたin vitro圧縮実験を実施し,2種類の脳組織染色として蛍光抗体法と酵素抗体法による脳組織の損傷の可視化と定量解析を実施した. その結果,蛍光抗体法では,ひずみ30%から軸索に断裂が生じ,ひずみ40%では毛細血管の神経線維への侵入と圧迫,ひずみ50%では軸索の断裂に加えて細胞核の壊死が観察された.酵素抗体法でも蛍光抗体法による観察と同様の傾向があり,ひずみ30%以上になると,楕円形に変形した神経細胞体が数多く確認された.酵素抗体法による染色の定量解析として,神経細胞体の荷重負荷方向である縦軸方向とそれに水平となる横軸方向の変形比率を縦横比と定め,観察組織中の全ての神経細胞体の縦横比を算出し,縦横比の平均値を求めた.その結果,ひずみ0%における縦横比は真円に近く0.98となったが,ひずみ30%以上では縦横比2.0となり,つまりひずみ30%以上では神経細胞体が2倍に伸長していることが分かった.
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Research Products
(19 results)