2011 Fiscal Year Research-status Report
NI基単結晶超合金の超高温での等二軸引張・圧縮多軸クリープ疲労寿命評価法の開発
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23560105
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
坂根 政男 立命館大学, 理工学部, 教授 (20111130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 聖徳 立命館大学, 理工学部, 助教 (00454520)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高温 / 低サイクル / 疲労 / 多軸 / 超合金 |
Research Abstract |
本年度はYH-61の単結晶十字型試験片を作製した.種々の結晶方位について有限要素法解析を用いて,多軸低サイクル疲労試験のための十字型試験片の最適方位を求めた.立方晶の弾性異方性を考慮した十字型試験片の有限要素方解析から,十字型試験片のxおよびy方向の腕の方位が[110]および[110]であれば,標点部の応力が肩部に比べて大きくなることを明らかにした.この方位以外の組み合わせでは,肩部の応力が標点部よりも大きくなり,標点部以外からき裂が発生するため,正確な多軸低サイクル疲労寿命を求めることができないことが判明した.なお,十字型試験片全体を単結晶超合金で作製するのは,技術的および経費的に問題があるため,試験片中央部のみを単結晶で作製し,腕部分は多結晶超合金をTIG溶接した. xおよびy方向の腕部が[110]および[110]の方位を有する十字型試験片を用いて主ひずみ比が-1から+1までの多軸高温低サイクル疲労試験を1173Kで実施した.その際,y方向のひずみ範囲を一定にして,x方向の主ひずみ範囲を変えることによって主ひずみ比を変化させた.なお,破損繰返し数は最大主ひずみ方向の荷重振幅が定常値から5%低下した繰返し数として定義した. 破損繰返し数は主ひずみ比が-1から0の範囲では,主ひずみ比の増加に伴って増加した.しかし,主ひずみ比の範囲が0から+1の範囲では,主ひずみ比の増加に伴って減少した.十字型試験片の多軸低サイクル疲労寿命をミーゼス型の相当ひずみ範囲や最大主ひずみ範囲で整理すると,主ひずみ比に依存して大きなばらつきを生じた.ミーゼス型の相当応力および最大主ひずみ範囲で同寿命を整理すると,上記2種類のひずみ範囲に比べてばらつきの少ない整理が可能であった.とくに,ミーゼス型の相当応力範囲での整理がもっともばらつきの少ない結果となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
YH-61の単結晶十字型試験片用の多軸疲労試験装置が種々の故障や不具合を発生し,実験に取りかかるのが遅くなった.故障要因としては,高周波発信装置の不良,同冷却装置の故障,サーボアンプの故障等である.これらの装置の故障に対応するため,実験に取りかかるのが遅くなった.このこともあって,当初予定していた単軸応力下での低サイクル疲労試験を実施することができなかった. しかし,最も技術的に難しい,単結晶十字型試験片を用いた主ひずみ比が-1から+1までの高温多軸低サイクル疲労試験を実施できた意義は大きく,その趣旨から現在までの達成度は,おおむね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はほぼ計画通りに研究を達成することができたので,次年度についても今年度と同様に着実に実験を遂行するようにしたい.ただし,単軸の高温低サイクル疲労試験について,当初計画から遅れが出ているので,次年度のところで回復するようにしたい.本年度の研究から,ミーゼス型の相当応力が多軸応力下での高温低サイクル疲労寿命を整理する上での有望なパラメータとなる可能性が出てきたので,今後このパラメータを中心にすえつつ,単結晶超合金の多軸低サイクル疲労寿命を整理できるパラメータの開発に取り組みたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費として計上している物品費(75万円)は主として,試験片の加工費や試験装置の治具,ボルト等の試験装置関連の費用に充てたい.また,旅費(35万円)につては,国際会議(4月の高温強度に関するIUTAMの会議)充てたい.その他の経費については,コピー代やパソコン関係の消耗品に充てる予定である.
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