2011 Fiscal Year Research-status Report
高機能骨細胞再生用三次元スキャフォールドの設計と組織制御プロセスの提案
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23560108
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
京極 秀樹 近畿大学, 工学部, 教授 (10258056)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 材料加工・処理 / 生体材料 |
Research Abstract |
本研究では、強度および生体親和性に優れるチタンあるいはチタン合金を用いて、細胞付着・増殖を促進する新たなスキャフォールドの創製を行うもので、透過性と骨芽細胞を導入し、破骨細胞を排除するフィルター機能、さらには細胞再生を誘導しやすいスペースを有する骨細胞再生促進型スキャフォールド構造とレーザ積層造形による組織制御プロセスを提案する。 本年度は、骨細胞再生促進型スキャフォールドの設計法と組織制御プロセスの提案ならびに試作を行った。まず、三次元スキャフォールド構造のモデルのうち、もっとも単純な形状である格子状(メッシュ)の構造を対象として、「直接レーザ積層造形技術」による組織制御に関する検討を行った。対象材料としては、最もよく生体材料利用されている純チタンを対象として、レーザ積層造形条件を検討した。具体的には、レーザ積層造形において最も重要であるレーザ出力と走査速度の関係を明らかにするとともに、走査ピッチの影響など基礎的な積層造形条件について検討した。その結果、レーザ出力と走査速度の関係を示すマップを作成し、滑らかなトラックを作製できる条件を見出すことができた。また、エネルギー密度とトラック幅の関係を求め、エネルギー密度によりメッシュの幅を制御できることを明らかにした。さらに、面作製において、レーザ出力と走査速度の関係と併せて、走査ピッチを考慮することにより滑らかな面を作製できる最適作製条件を見出すことができた。これにより、滑らかな面からメッシュ幅を制御したメッシュまで作製できる条件を見出し、延性のあるメッシュを試作できた。つぎに、生体材料として利用され始めているTi-Nb系合金のうち、Ti-Nb-Cu合金をパルス通電焼結法により作製し、弾性率が低く、低温で超弾性を示す合金系を開発できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究においては、主たる目的である「直接レーザ積層造形」による三次元スキャフォールドのうち、本法により作製可能なメッシュのレーザ積層造形条件について検討し、滑らかな面からメッシュ幅を制御したメッシュまで作製できることを明らかにし、研究計画にある直接レーザ積層造形技術による組織制御プロセスを確立できた。しかし、試作したメッシュに関する変形挙動については、まだ検討できていない。また、生体材料として利用され始めているTi-Nb系合金のうち弾性率が低く、低温で超弾性を示す合金系を開発できた。以上の点から、達成度は90%程度である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、多孔質構造の三次元スキャフォールドを作製するために、「間接レーザ積層造形技術」による造形プロセスの検討を行う。これは、チタンと樹脂粉末を混合した混合粉末で、樹脂のみを溶融固化した成形体を作製し、樹脂の部分を脱バインダして、その後高真空での焼結によりスキャフォールドを得る方法である。これにより、透過性・フィルター機能とともに、再生誘導スペースを有する骨細胞再生促進型スキャフォールドを製造する新規の技術を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の使用計画については、次のとおりである。物品費:粉末類、アルゴンガス等185,000円旅費:成果発表旅費 165,000円その他:投稿料及び学会参加費 150,000円
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Research Products
(2 results)