2012 Fiscal Year Research-status Report
高機能骨細胞再生用三次元スキャフォールドの設計と組織制御プロセスの提案
Project/Area Number |
23560108
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
京極 秀樹 近畿大学, 工学部, 教授 (10258056)
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Keywords | 材料加工・処理 / 生体材料 |
Research Abstract |
本研究では、強度および生体親和性に優れるチタンあるいはチタン合金を用いて、細胞付着・増殖を促進する新たなスキャフォールドの創製を行うもので、透過性と骨芽細胞を導入し、破骨細胞を排除するフィルター機能、さらには細胞再生を誘導しやすいスペースを有する骨細胞再生促進型スキャフォールド構造とレーザ積層造形による組織制御プロセスを提案することを目的としている。 本年度は、平成23年度に引き続き、骨細胞再生促進型スキャフォールドの組織制御プロセスの提案ならびに試作を行った。積層造形プロセスについては、「直接レーザ積層造形技術」による三次元スキャフォールド構造の組織制御に関する検討を行った。対象材料としては、最もよく生体材料として利用されている純チタンを対象として、球状に近いポアが存在するポーラス体となるレーザ積層造形条件を検討した。その結果、レーザ出力と走査速度の関係を示すマップから、最適なエネルギー密度があることを見出した。また、三次元積層造形のためのレーザ照射パターンや積層ピッチを検討することにより、ポーラス体の三次元積層造形体を試作できた。しかし、ポアの大きさや分布についての制御については、さらに詳細な検討を行う必要がある。 また、生体材料としては、最近生体適合性に優れる材料として利用され始めているTi-Nb系合金のうち、平成23年度の引き続き、Ti-Nb-Cu合金をパルス通電焼結法により作製し、超弾性特性等について詳細に検討した。さらに、これまでほとんど報告のないTi-Sn-Cr合金についてもパルス通電焼結法により作製し、β領域において超弾性を示すことなどを明らかにした。得られた研究成果については、論文あるいは学会において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究においては、三次元スキャフォールドの積層造形条件および組織制御法の確立を目的とした。三次元積層造形のための積層造形条件やレーザ照射パターンについては、その条件を明らかにでき、ほぼ積層造形技術を確立できた。しかし、組織制御法のうち、ポアの大きさや分布の制御については、さらに詳細な検討を行う必要があるとともに、現在使用している積層造形装置には、酸素濃度を減少させるのに限界があるため、機械的性質については問題がある。また、今年度は、低弾性率の生体適合性に優れるTi-Nb系、新たな合金系であるTi-Sn-Cr系合金についても、パルス通電焼結により試験片を作製し、その特性を検討することができた。以上の点から、ここ2年間における達成度は、70%程度である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、ポーラス体のポアの大きさや分布を制御するために、平成24年度から取りかかっている樹脂を利用した「間接レーザ積層造形技術」による検討を行い、透過性・フィルター機能とともに、再生誘導スペースを有する骨細胞再生促進型スキャフォールドを製造する新規の技術を確立する。 また、低弾性率の生体適合性に優れるTi-Nb系合金の「直接レーザ積層造形技術」についてもその積層造形条件を検討し、チタンでは得られない低弾性率かつ生体適合性に優れる新たな機能を有するスキャフォールドの開発を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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