2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23560109
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Research Institution | Tokuyama College of Technology |
Principal Investigator |
西村 太志 徳山工業高等専門学校, 機械電気工学科, 教授 (70189314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森野 数博 呉工業高等専門学校, その他部局等, その他 (90099870)
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Keywords | 球状黒鉛鋳鉄 / ラジカル窒化 / 高サイクル疲労 / 疲労強度 / 耐摩耗性 |
Research Abstract |
本研究では高強度・高じん性であり、静的特性に優れている球状黒鉛鋳鉄に対してラジカル窒化を適用し、疲労強度、耐摩耗性向上を実現し、高強度で高信頼性を有する球状黒鉛鋳鉄を開発することを目的に研究を行った。 供試材にはフェライト系球状黒鉛鋳鉄FCD400を用い,比較材として普通鋳鉄FC250を使用した。球状黒鉛鋳鉄の高サイクル疲労強度に及ぼす窒化層厚さの影響について検討を行うため、窒化条件として表面に2μmの化合物層を生成する条件(2μm窒化材)およびそれより厚い化合物層(6μm)を生成する条件(6μm窒化材)で処理を行った。 その結果、いずれの窒化条件においても球状黒鉛鋳鉄の疲労強度改善方策としてラジカル窒化が効果的であり、鋳放し材に比べて疲労強度が向上することが明らかとなった。ただし、6μm窒化材では表面の硬さは2μm窒化材より1.3倍硬くなるものの、疲労においては硬い窒化層が脆性的に割れてしまうため2μm窒化材に比べて疲労強度は低いものとなった。 さらに、両窒化材が鋳放し材に比べて疲労強度が向上する理由を明らかにするため、き裂の発生・伝ぱに着目し、微視的観点から検討を行った。その結果、窒化材の疲労限が鋳放し材に比べて向上した理由は窒化による表面硬化および圧縮残留応力の存在により表面き裂の発生が抑制されたためであることが明らかとなった。また、有限寿命域での疲労強度の向上にも圧縮の残留応力が有効に働いているためであることが示唆された。 また、球状黒鉛鋳鉄では鋳放し材においても摩耗特性は優れており耐摩耗性が良好であるが、ラジカル窒化を施すことによる耐摩耗性の低下は見られなかった。 以上のことから球状黒鉛鋳鉄においては表面に2μm程度の化合物層を生成するラジカル窒化が、疲労強度、耐摩耗性を兼ね備えた条件であることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)