2012 Fiscal Year Research-status Report
ゴム切削における切りくず分離過程のインプロセス観察を基にした加工誤差のモデル化
Project/Area Number |
23560111
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
寺本 孝司 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40252605)
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Keywords | 柔軟弾性体 / エンドミル加工 / モデル化 / 高速度撮影 / 加工誤差 |
Research Abstract |
本研究課題は,エンドミル加工による柔軟弾性体部品の小ロット高精度加工の実現のためのシミュレーションモデルの構築を目的としている.平成24年度においては,平成23年度の結果をもとに,直刃を用いた柔軟弾性体の準二次元切削における大域的工作物挙動を粘弾性特性を考慮した動的過程としてモデル化した.そして,構築したモデルを汎用有限要素解析システムの拡張機能として実装した.さらに,平成23年度に構築した柔軟弾性のインプロセス観察装置によって得られた工作物挙動と,実装したシステムを用いた推定結果を比較することによりその妥当性を明らかにした.この過程で,工作物挙動を推定するうえで必要となる粘弾性特性を表す物理パラメータの同定が推定において重要であることが明らかになったことから,インプロセス観察装置によって得られた工作物挙動をもとに応答曲面法を用いてパラメータ同定を行うことについて検討した.また,インプロセス観察装置によって得られた加工中の工作物挙動と加工誤差の関係について調査した.この結果,仕上げ加工においてアップカットでの加工が効果的であることが明らかになった.さらに,加工点近傍の工作物挙動と加工誤差の関係は,送り速度が十分低い領域と通常の送り速度領域では,異なる傾向があることが明らかとなった.このことは加工誤差評価において,大域的な工作物挙動の分析とともに切りくず分離過程を考慮した誤差評価の両者が不可欠であることを示唆しており,開発を進めている柔軟弾性体用加工シミュレータの実装に反映させる.平成25年度においては,シミュレータを完成させるとともに,現実的な部品形状の加工を模した加工実験を行い,モデルベースでの柔軟弾性体の高精度加工について検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに,工作物の大域的な変形挙動については,インプロセス観察の実現と画像処理技術を適用した変位計測を実現した.また,当初最終年度に検討する予定であった大域的なモデルと局所モデルの連携について,時間領域での力学的過程としてモデル化を行い,複合モデルとしての連携手法を決定した.さらに,工作物の大域的な挙動推定手法とモデル同定技術を併用することで,多様な材質へ本手法を適用のための基礎的な検討を終えている.なお,当初予定していた切りくず分離位置の認識は十分な精度で実施できていないが,切削力評価を基にした局所切削モデルの導入により代替可能であることから,研究全体としては,おおむね予定通りの進展であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた通り,まず,柔軟弾性体の加工誤差シミュレータの実装を行う.具体的には,切削力推定モジュールの実装を行い,工作物変形モデルとの連携を行う.続いて,構築したシミュレーションモデルに含まれるモデルパラメータを,簡易形状工作物加工でのインプロセス計測結果から同定するためのモデル学習機能の連携を行う.以上の実装ののち,現実的な部品加工を模した加工実験によりシミュレーション結果をもとにした柔軟弾性体の高精度加工の妥当性を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
汎用FEMソフトウエアの年間ライセンスで約27万円の支出を予定している.そのほか,実験用工具と加工材料,研究成果の学会発表のための旅費として研究費を使用する予定である.
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